ファーマーズ・マーケット 出荷者の高齢化に対応を2017年3月16日
JA地産地消協議会が30周年記念セミナー
JA地産地消協議会とJA全中は3月14日、東京都千代田区のJAビルで、同協議会設立30周年記念、JAファーマーズ・マーケット事業戦略推進セミナーを開いた。3JAのファーマーズ・マーケットの報告をもとに意見交換し、特に生産(供給)体制のあり方、魅力ある運営法などを探った。
セミナーでは(株)ジェイエイあぐりすかがわ岩瀬「はたけんぼ」(福島県)、JA千葉みらい「しょいか~ご」(千葉県)、JA紀の里「ファーマーズ・マーケット「めっけもん広場」(和歌山県)の3ファーマーズ・マーケットが報告した。
「はたけんぼ」は、年間の来客数約59万人で売上高約12億円。登録会員は750人。「しょいか~ご」は、設立以来11年間の来客数約1000万人で、売上高は184億円。年間の販売額30億円をめざしている。出荷登録者は965人。「めっけもん広場」は年間の来客数約78万人で、売上高27億円。出荷登録者は1540人。
いずれも全国でトップクラスのファーマーズ・マーケットだが、それぞれ特徴があり、また生産者会員の高齢化による供給面での不安を抱えている。パネルディスカッションでJC総研の山本雅之特別研究員は「高齢化で品物の集荷が困難になっているところもある。また安全・安心をどう担保するか、特に若い農業者の確保が課題だ」と指摘した。
JA紀の里の大原稔常務は「中山間地域の果樹地帯は傾斜地で農地集積も難しく、荒廃農地が増えている。出荷登録者も減少している」と話した。集荷量確保のため、29年度で50回以上の栽培講習会を開く予定だという。
JA千葉みらいは合併で、農業の盛んないんば地区が加わり、若手の専業農家も多い。同JAの伊藤和彦常務は「集荷量確保のため農家巡回を増やしている。集荷体制を整備し、直売に対応したパッケージセンターも必要だ」と抱負を述べた。
ジェイエイあぐりすかがわ岩瀬の佐藤貞和取締役部長は「出荷者の平均年齢は60歳近く、供給が不安定になっている。若い農業者と分けて、面積を減らしても収益が変わらないような運営方法を考える必要があるかも知れない」と指摘した。また同JAは昨年の4月に広域合併しており、広域化に対応したあたらしい集荷体制が求められている。 こうした意見に対して、山本研究員は、現在の共販の出荷者も高齢化していることから、こうした生産者も視野に入れ、集荷のため、数人の生産者で栽培・集荷・運搬などを分担する「ファーマーズ・マーケット型の集落営農を、将来は検討する必要があるのでは」と提案した。
(写真)賑わうファーマーズ・マーケット、これからファーマーズ・マーケットの事業戦略で意見交換
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