経済事業改革を議論-農協研究会2017年4月24日
全農、ターゲットを明確に販売事業改革
農業協同組合研究会(会長:梶井功東京農工大元学長)は4月22日、東京都内で総会(第13回)と研究大会(同)を開いた。研究大会は「経済事業自己改革の実践と課題」をテーマに、JA全農の事業改革の方向と、2つのJAの先進的な取り組み事例の報告をもとに、地域農業の振興策と農家組合員の農業所得増大策などを議論した。
研究大会では「全農自己改革の取り組み」をJA全農の神出元一代表理事専務が報告した。
神出専務は3月に決めた事業改革の内容を説明したが、その前提には、今後のわが国の農業生産基盤の変化や、食料消費の動向などを全農として分析、評価したものがあることを強調した。そのうえで生産年齢人口の減少にともなう国内消費仕向け量の大幅な減少が将来にわたって見込まれるなか、国として食料・農業政策の基本的な方向を決めていく議論が必要だと指摘した。
農家所得増に向けた生産資材事業改革では、たとえば、肥料では事前予約注文の積み上げをもとに入札によって価格を決定する共同購入方式を導入するなどコスト削減の取り組みを一丸となって進めるが、神出専務は農業所得の増大は「販売事業をきちっとできるかどうかが雌雄を決する」と強調した。
具体的には、米穀事業は「売ってもらう」から「自ら売る」に転換し、業務用実需者、家庭用実需者それぞれのメインプレーヤーをターゲットに精米の直接販売の拡大に力を入れるとともに、産地では需要に合わせた事前契約栽培の拡大の必要性などを強調した。また、園芸でも青果センターの機能を拡充し、外食・中食を最大のターゲットとするなど優先順位を決めた直販事業の強化とともに、市場取引では実需を押さえている仲卸との関係重視が販売力強化につながるとの考えを示した。
そのうえで神出専務は改革はここ1、2年が勝負との認識を示すとともに、農業改革には農業団体だけではなく国や関連業界の実践も大切でそれにも注視が必要だとした。
そのほか岩手県のJAいわて中央の久慈宗悦代表理事組合長が「水稲作を中心とした農家手取最大化の取り組み」を報告し、愛媛県のJAおちいまばりの宇髙秀志常務理事が「農業振興計画レインボープランの実践」を報告した。
研究大会に先立つ第13回総会では2016年度の事業報告と収支決算、17年度の事業計画と収支予算が承認されるとともに、役員改選案も承認され理事18名、監事2名が再任された。
(写真)農業協同組合研究会の第13回研究大会には約120人が参加した
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