農家支援スキル向上へ JA全中 経営改善の人材育成2017年6月2日
JA全中は5月31日~6月3日、東京都千代田区大手町のJAビルで経営改善提案実践研修会を行なった。各県JAの担い手サポートセンターやJAの担い手支援課などの担当者45人が参加し、会計・税務、労務など農業経営管理支援の考え方や手法等について、実例をもとにした経営改善ワークショップ、コミュニケーションスキルアップのための訓練、実践事例報告などを行なった。
JAグループは第27回全国大会で、総合事業による農業経営管理支援(農業経営コンサルタント)の強化を打ち出している。そのひとつ記帳代行は、281JA(全JAの54.3%、平成28年4月1日現在)で実施。確定申告支援は517JA(同78.5%)に達する。JA全中は、これをさらに強化し、経営分析・生産販売分析などに拡大する方針で、そのため経営改善を提案する能力のある人材の育成・指導ノウハウの構築を急いでいる。
研修では提案に必要な経営分析の基本となる財務諸表の見方を学び、実例をもとに、ワークショップで経営改善に必要な提案事項をまとめた。さらに、農家の経営支援に欠かせないコミュニケーションのスキルアップのため、話の伝え方、聞き出し方の実践的訓練を行なった。
実践報告では愛媛県JAおちいまばり営農企画課の芥川知豊課長補佐が報告。同JAには組合員の購買未収金の回収を行うためのアグリサポート会議があり、問題農家の経営改善を提案する。同課長補佐はその実例を挙げ、(1)口座が複数あってキャッシュの流れが煩雑、(2)営農と生活が混同、(3)日々の返済に追われ、農業経営に集中できていない、などの課題を挙げ、購買未収金の金利減免などの改善策を提案したことなどを報告。また、3年分のデータをもとにWebによる農家の経営分析・診断報告書を作成し、全戸に配布している。
こうした取り組みから、経営や税務申告についての生産者の意識の違いや経営指導できるTAC、営農指導員の不足が明らかになった。このため同JAでは、生産者の経営に対する意識の分析やTAC農業経営指導塾の開講などで、「学びを通じて自ら考え行動できる職員を育成し、生産者が気持ちよく農業ができる営農指導をめざしている」と話した。さらに農業経営支援研究所代表の木下徹氏が、実際野経営支援の進め方で話した。
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