農協運動の熱き仲間たちが参集 農協協会「新年の集い」2018年2月1日
毎年恒例の農協協会・農業協同組合新聞主催の「新年の集い」が1月25日、東京・大手町で開催され、JAグループ関係者や学識経験者、農業関連企業など関係者が多数出席した。
(写真)佐藤会長(中央)と来賓4名(左から八木岡氏、肱岡氏、藤尾氏、山田氏)による鏡開き
主催者を代表して佐藤喜作(一社)農協協会会長は「和食がいま世界的なブームにある中で、逆に国内をみると和食離れが進み、衰退の方向に行っている。こうした状態は放っておけない」との危機感を示す一方で、独特のユーモアを交えながら、JAグループと参加者の今年の活躍にエールを送った。
(写真)開会挨拶をする佐藤喜作農協協会会長
新年会は続いて、来賓による祝辞、鏡開き、梶井功東京農工大学名誉教授の音頭による乾杯と続いた。会場には歓談の輪が広がり、大いに盛り上がった。
来賓の祝辞と挨拶の各氏の発言内容(要旨)は以下の通り。
◆ピンチをチャンスに
【肱岡弘典・JA全中常務理事】
JAグループは3年前の第27回全国JA大会で決議された「創造的自己改革の実践」に向けて現在、鋭意、取り組みを進めているが、いまJAグループ全体は3つの危機に直面している。一つは、農業・農村の危機、二つめはJA組織・経営の危機、三つめは、これまで地域社会に貢献してきたJAの総合事業を「評価しない」とする批判勢力からくる危機である。
第28回大会に向けて、それら3つの危機を乗り越えていくための具体的な事業戦略や組織強化対策を通して、JAグループ全体の有機的な連携を図りつつ、中家徹会長がよく口にする「ピンチをチャンスに変える」年にしたい。
◆職員の意識改革進む
【八木岡努・新世紀JA研究会代表】
私が代表理事組合長を務めるJA水戸ではいま、職員の意識改革が芽生え始め、JAグループ全体が掲げている「自己改革」の良い影響が及んできており、とても心強く嬉しく感じている。
この動きをさらに大きくし、地域にとって、JAはやはり不可欠の存在であるという認識を強めていただけるよう研鑽していきたい。
研究会ではいま萬代宣雄特別相談役名誉代表(JAしまね・前組合長)を先頭に、農水産業貯金保険機構の保険料の引き下げと保険料積立金の凍結を求める運動を展開しており、この取り組みに対するご理解とご支援をお願いしたい。
◆夢のある農業へ
【山田俊男・自民党参議院議員】
この新年会に毎年のように招かれて、大変光栄に思う。
新春講演会での神明・藤尾社長の話に大変感激を覚えた。ご自身のビジネスの実情も赤裸々に語る姿勢も含めて、そのサクセスストーリーは、単なる自己満足の世界ではなく、結局、この日本で「夢のある農業を作ることにあり、そのための縁の下の力になることだ」という強い意志と、壮大なロマンをそこに感じた。
いまJAグループは自己改革を迫られている最中にあるが、藤尾社長のお話しはグループ全体に勇気を与えてくれるものと思う。私も「夢のある農業づくり」に向けて、全力で取り組む所存だ。
◆日本の活力は農業
【藤尾益雄・(株)神明代表取締役社長】
神明の役割は、日本人の食生活をしっかりと守っていくことに尽きる。
このまま日本の農業が衰退を続けていくと、必ず食料危機がやってくる。
未来の子供たちが、日本の美味しいお米が食べられない、豊かな食生活を味わうことができないということはとても悲しいことだ。そうした悲惨な事態を招かないように、私は全力をあげてその阻止に立ち向かう。
日本の農業が活力みなぎる存在になっていれば、次代の子供たちにもしっかりと夢と希望のあるものとして伝わるだろう。それはすなわち日本の活力増大、ひいては国力の強化にもつながっていくに違いない。
◆種子法廃止は絶対反対
【川田龍平・立憲民主党参議院議員】
私は昨年から参議院の農水委員会に転じ、農業問題について懸命に勉強している。そうした中で、今年の4月から種子法が廃止されるという大きな動きがあった。種子法廃止は日本の農業をダメにするものだと、私は絶対反対の立場をとっている。
農水委員会は、与党と野党の垣根が低いので、今回の種子法をはじめ、日本の農業を取り巻く諸問題を徹底議論できる場となっている。その場を通して、日本の農業をしっかりと守っていきたいと思う。
◆世界の農協と連携を
【堤未果・国際ジャーナリスト】
昨年一年間、私は数え切れないほど全国のJAを訪れ、この目でつぶさに地方の農業の実態を見てきた。東京にいると、
どうしても「改革」という名の下の「農協叩き」が目に飛び込んでくる。しかし地方を回ってみると、まったく違う。地方では、明らかに農協の存在意義は高い。農協なくしては地方の農業は語れない。それくらい不可欠なものであることを痛感する。
米国のトランプ政権もいまここへきてようやく税制改革を通して農業政策の舵を良い方向へと切り替え始めてきている。「米国農業を守るためには、やはり協同組合の存在が欠かせない。それを死守していこう」という動きが着実に広がりつつあるが、こうした重要な事実は日本のメディアは決して報じない。
米国でも小規模農業はいま危機に瀕している。彼らは世界の農業協同組合と連携したいと願っている。JAや生産者をはじめとする日本の関係者の方々も、ぜひそうした動きを見逃さずに、協同組合精神の原点に立ち返り、手と手を携えていかなくてはならない。
◆地域の多様性が大事
【玉木雄一郎・希望の党代表】
私が希望の党の代表になった時に掲げたのは、「土の香りのする政党でありたい」というスローガンだ。私自身、農村に住んでいるし、いまも6反ほどの小さな農地で農業を営んでいる。私は、JAによって大きく育てられた。まさに申し子であると自覚している。
現政権下で進められている農業改革は、改悪の方向に進んでいるような気がしてならない。改革派の下に流れる市場原理を尊重する考え方そのものを私は否定するつもりはない。しかし、その前に絶対に忘れてならないのが協同組合の精神であり、組織である。
物事を短絡的に考えることは危険である。多様な考え方を受容していくことが日本の強さであると思う。日本の地域の多様性を維持し、支えているのは、第一次産業の農業であり、農業は国を支えている大切な資産でもある。そのことを具現化していく一つの方法は、スイスのように憲法で食料安全保障をしっかりと謳うことが大事だ。憲法改正論議はそこから始めるのが筋であるはずだ。
市場原理を重視した産業型の農業では必ず行き詰まることは間違いない。
地域政策であるとか、農村をどう守っていくかという視点がまったく欠落していることに危機感を覚える。文明の転換点に立っている自覚の下で、私は希望の党代表として、日本の農業を守る活動を続けていきたい。
(写真)最後に参加者全員でふるさとを斉唱。壇上にはいるのは農協協会の職員ら。
◆輸出拡大に発想の転換を
【村田興文・インナーブレイン代表】
コンサルタントとして、米国、カナダ、フランス、ドイツの農業関係者の方々と話をする機会が多い。そこでよく「日本のJAとは、いったいどういう存在なのか」という質問を受ける。彼らには日本のJAの動きが、ニュースとしてまったく届いていない。日本のように豊かな国が、どうして自国の農業について情報発信をしないのか、と不思議がられる。
私が懸念していることは、たとえば、日本のお米を中国に輸出する場合は燻蒸してからでないと輸出できないことだ。しかし、問題となっているカツオブシムシはじつは中国にもたくさんいる。それなのに、そのような扱いを受けているのは屈辱的である。また「あきたこまち」や「コシヒカリ」というブランド名は中国では商標権を握られて売ることができない。これはそれだけ日本米のブランドが浸透している証ではある。
中国での米の生産量は年間1億5000万tある。そのうち約6000万tがジャポニカ米だ。このことからも、中国での日本米に対する評価の高さが分かるし、絶好の輸出対象国なのだ。ところが、日本の米市場は、相変わらず旧態依然とした国内向けの「テーブルライス」としてのブランド競争、価格競争に留まっているのが現状だ。
中国市場のみならず、もっともっと海外市場に向けて、日本米の輸出をしなければならないのに、そうはなっていない。その打開策を生み出そうとする気配すら感じない。農業界全体が日本米の輸出拡大に向けた戦略的な取り組みに着手しなければならない。いまこそ、発想の転換が必要だ。
◆後継者の育成を
【加藤一郎・元JA全農代表理事専務】
日本の農業にとって、いま最大の課題は後継者をいかに育てていくかということだろう。その問題解決のために、微力ながら努力していきたい。その意味でも、農協協会とJAcom、農業協同組合新聞の果たすべき役割はますます高まってきている。私は農協協会のサポーターであり、これからも応援していきたい。紙面のますますの充実を祈っている。
新年の集いでは、毎年恒例となっている全国の農協などから寄贈された特産品を来場者全員にお持ち帰り頂いた。
ご寄贈頂いた特産品等は以下の通りです(五十音順、敬称略)。
ご協力ありがとうございました。
<協力JA>
JAあいち中央
キャロット&フルーツ「へきなん美人」(人参搾り汁7割使用)
JA愛知東
菌床しいたけ
JAあしきた
デコポンゼリー
JAあつぎ
ぬれかり煎(厚木産キヌヒカリ一等米使用)
NPO法人 JAあづみくらしの助け合いネットワーク"あんしん"
ねぎ味噌(安曇野五づくりの畑)
JAいしのまき
焼肉のタレ、純米吟醸酒「日和桜」(環境保全米ササニシキ使用)
JAいずみの
玉葱ぽん酢
JAいわて中央
本格焼酎「ゆくたがり」(岩手県矢巾町産うるち米、もち米、小麦使用)
JAいわて花巻
かあちゃんハウスだあすこ 雑穀とドレッシングセット
JAいわて平泉
りんごジュース
JA馬路村
ごっくん馬路村
JAえひめ南
甘平
JAおおふなと
しいたけ加工品セット
JAおきなわ
蒟蒻ゼリー パインアップル、シークワーサー、タンカン
JA帯広かわにし
十勝川西長いも
JA鹿児島きもつき
本格焼酎「きもつき浪漫」
JA菊池
こだわり苺
JA紀南
紀南の味セット
JA京都中央
手づくり味噌「かぐや姫」
JA京都やましろ
お粥と宇治ほうじ茶の詰め合わせ
JAグリーン近江
パックごはん、パック牛めし、う米チップス、政所平番茶、きてか~なオリジナルドレッシング
JAくるめ
フリーズドライ味噌汁「ちょっとかあちゃんこりゃうまか」
JAさが
「さがびより」(米の食味ランキング7年連続『特A評価』)
JAさがえ西村山
啓翁桜と吟醸酒「啓翁」
JA佐渡
佐渡産コシヒカリ「こしいぶき」「朱鷺と暮らす郷」「佐渡育ち」
JA静岡市
静岡茶「葵じまん」
JAしまね
ひらたの柿 スイートパーシモン
JA周南
「周南極コシヒカリ」
JA新庄もがみ
山形県産「つや姫」
JAちば東葛
オリジナルギフトセット(洋焼き菓子)
JA土浦
黒糖れんこんバウムクーヘン
JA東京むさし
ム―ちゃん'sキッチン(ブルーベリージュース)
JA東西しらかわ
飲むこんにゃくゼリーごっくん いちご、ゆず、ブルーベリー
JA十日町
きのこ詰め合わせ
JA土佐あき
よさこいポンカン
JA鳥取中央
東郷梨(晩生梨)
JA富里市
落花生
JA十和田おいらせ
プレミアムにんにくパウダー
JA中札内村
枝豆かりんとう、枝豆(タマフクラ)甘納豆
JAはが野
コシヒカリ「もてぎ 八溝米」
JAはだの
かりんとう
JA兵庫西
特選ゆずギフトセット(ゆずの精、マーマレード等)
JA広島北部
コシヒカリ改良米「三矢御膳」、コシヒカリ「吟の米」「豊穣神楽米」
JAふくおか八女
福岡八女茶
JAふくしま未来
伊豆のあんぽ柿、純米吟醸「あらが純米」、特別純米酒「天のつぶ」、長いも焼酎「さわうらら」、柿のリキュール「柿入れどき」、ピーチリキュール「桃の涙」
JA松本ハイランド
ワイン(ナイアガラ甘口)
JAみっかび
青島三ケ日みかん
JA水戸
焼酎「芋むら咲」
JAみどりの
いろどりリフレッシュ(刻みピクルス)
JAみやぎ登米
パックごはん 特別栽培米「ひとめぼれ」使用
JA三次
こだわり四季セット(柚子ドリンク、しょうゆ、ゆずポン酢)
<協力全国連・県連・県本部>
JA全農
お菓子、パスタ、お米のミルク、石川佳純選手クリアファイル
JA共済連
アンパンマングッズ(カップ、巾着袋、マグネットシート、メモ帳)
農林中央金庫
CHORISブランケット、CHORISフード付ブランケット、CHORIS小銭入れ
JA全農いばらき
干しいも(ひたちなか産紅はるか使用)
広島県果実農業協同組合連合会
広島ののむフルーツゼリー
<協力メーカー>
(株)サタケ
マジックライス詰め合わせ
シンジェンタ ジャパン(株)
プレミアムビオラ
全国農協食品(株)
砂糖、保存料不使用「にほんのドライフルーツ」
東洋ライス(株)
金芽ローカット玄米ごはん パックごはん
Meiji Seika ファルマ(株)
お菓子詰め合わせ
雪印メグミルク(株)
農協野菜Days 野菜&フルーツ100ジュース
<協力団体・個人>
公益財団法人 青森県りんご協会
スパークリングジュース
農協愛友会
生切りもち、名糖アソートチョコレート、白子のりお茶漬けセット、雪印プラチナミルク
全国漁業協同組合連合会
かつおフレーク(油漬け)
農事組合法人となん
純米めん(盛岡産ひとめぼれ使用)
林 正照
ポンカン、デコポン
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(123) -改正食料・農業・農村基本法(9)-2024年12月21日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (40) 【防除学習帖】第279回2024年12月21日
-
農薬の正しい使い方(13)【今さら聞けない営農情報】第279回2024年12月21日
-
【2024年を振り返る】揺れた国の基 食と農を憂う(2)あってはならぬ 米騒動 JA松本ハイランド組合長 田中均氏2024年12月20日
-
【2025年本紙新年号】石破総理インタビュー 元日に掲載 「どうする? この国の進路」2024年12月20日
-
24年産米 11月相対取引価格 60kg2万3961円 前年同月比+57%2024年12月20日
-
鳥インフルエンザ 鹿児島県で今シーズン国内15例目2024年12月20日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】「稼ぐ力」の本当の意味 「もうける」は後の方2024年12月20日
-
(415)年齢差の認識【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月20日
-
11月の消費者物価指数 生鮮食品の高騰続く2024年12月20日
-
鳥インフル 英サフォーク州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月20日
-
カレーパン販売個数でギネス世界記録に挑戦 協同組合ネット北海道2024年12月20日
-
【農協時論】農協の責務―組合員の声拾う事業運営をぜひ 元JA富里市常務理事 仲野隆三氏2024年12月20日
-
農林中金がバローホールディングスとポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結2024年12月20日
-
「全農みんなの子ども料理教室」目黒区で開催 JA全農2024年12月20日
-
国際協同組合年目前 生協コラボInstagramキャンペーン開始 パルシステム神奈川2024年12月20日
-
「防災・災害に関する全国都道府県別意識調査2024」こくみん共済 coop〈全労済〉2024年12月20日
-
もったいないから生まれた「本鶏だし」発売から7か月で販売数2万8000パック突破 エスビー食品2024年12月20日
-
800m離れた場所の温度がわかる 中継機能搭載「ワイヤレス温度計」発売 シンワ測定2024年12月20日
-
「キユーピーパスタソース総選挙」1位は「あえるパスタソース たらこ」2024年12月20日