6割が「SDGsを事業に」 地域との対話のツールに JCAが全国のJAに調査2018年12月26日
全国のJAの6割がSDGs(持続可能な開発目標)をJAの事業に取り組みたいとの意向を持っていることが、日本協同組合連携機構(JCA)の調査で分かった。それによって期待する効果は「地域社会との連携によるコミュニケーションの深化」となっており、地域を視野に置いたコミュニケーションのツールとして活用したいとの意向がうかがえる。12月25日発表した。
(写真)奉仕活動で地域の草刈りをする農協職員
今年の10~11月、全国のJAを対象に調査票を郵送して得た302票の有効票を分析した。調査内容は「食を通じた地域貢献活動」、「食品ロスの削減」、「SDGs」の3点に関すること。このなかでSDGsについては、「非常に関心がある」(2.4%)と「関心がある」(47.6%)を合わせ約5割が関心を示した。さらにJAの事業への活用については、具体的な事業に「積極的に活用したい」(2.1%)と「状況に応じて活用したい」(23.2%)、「今後予定している事業に活用したい」(6.0%)、「今後活用していく予定」(25.0%)と、6割近くが、なんらかの形でSDGsを活用する意向を示している。
その理由として、SDGsに期待するのは「地域社会との連携によるコミュニケーションの深化」と「持続可能な社会の実現へ貢献」が4割強だった。一方「新たな価値創造のための有力なツール」、「新たな市場開拓など将来の利益を生み出す投資」への期待は低かった。同機構は「SDGsの取り組みを契機に、地域貢献と経済活動の相乗効果を生み出す事業を共有し、JAや農業の果たす役割を具体的に示す必要がある」と分析する。
なお「食を通じた地域貢献活動」では、約7割のJAが「地場食材を学校給食等へ提供」している。次いで多いのは「地場食材を活用した食育活動」で約6割だった。また2割強のJAが「福祉施設、子ども食堂などへ農産物提供」に取り組んでいる。こうした貢献活動を行う上での課題で、約5割のJAが「体制整備の不備」と挙げ、次いで約3割が「メリットが不明確で事業に結びつかない」と回答している。
また、調製や集出荷施設などでの「食品ロスの削減」では、「担当部署が対応している」が約4割、「その時々で柔軟に対応している」が約3割だった。その対策としては約6割が「規格外品の販路を確保する」、次いで「過剰出荷にならないためのアドバイス」、「一次加工品の商品開発」がそれぞれ約3割となっている。ロス削減の支援策では、約6割が「国民運動として消費者への普及啓発」と回答し、消費者を巻き込んだ活動に期待をよせていることが分かった。
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