第7回 JA活力ある職場づくり全国研究発表会(1)2018年12月26日
JA全中はJAへの情報提供を通じて「活力ある職場づくり運動」をさらにすすめていくため12月4日、東京・大手町のJAビルで「第7回JA活力ある職場づくり全国研究発表会」を開いた。
◆JAらしい職場めざす
(写真)活力ある職場づくりへの取り組み策を話し合った
JA全中の石堂真弘常務は主催者あいさつで「JA運動を担う職員育成は、組合員の営農と暮らしの現場や日々の仕事に取り組む職場で行われると考え、活力ある職場づくり運動を進めてきた。JA自己改革を担う人材育成を進めるためにも職場づくりの強化は必要不可欠」とこの運動の意義を強調した。
(写真)石堂真弘・JA全中常務
教育部の田村政司教育企画課長は「JA自己改革と活力ある職場づくり」を報告した。
JAらしい活力ある職場づくりへの基本は組合員満足(MS)と職員満足(ES)。MSには組合員の立場に立った対話活動、組合員が参加したくなる協同活動づくりなどが重要だが、取り組みを通じて組合員と接することで、職員が元気をもらい学ぶことにもなる。組合員に職員を育ててもらい、育てられた職員が組合員を育てるという「学び合い」がJAらしい活力ある職場づくりにつながる。 ESは職員どうしの充実したコミュニケーションが重要。報告、連絡、相談という基本にしっかり取り組み、会議などで活発に意見交換されているかなどを心がける。管理職の役割は、職員の思いを引き出す場づくりなどが重要になる。
田村課長は「JA自己改革とは変化する組合員の営農と暮らしの悩みや、願いを聴き、解決の道を組合員と職員がともに考え汗をかくこと。JAらしい職場づくりとは、実は本来あるべきJA自己改革のこと」と強調した。
(写真)田村政司・JA全中教育部教育企画課長
(写真)JAの職場づくりは日本農業の元気への起点と強調するローランドベルガーの遠藤会長
記念講演はコンサルティング会社、ローランドベルガーの遠藤功会長の「JAの職場づくりに期待する」。
遠藤会長は「日本企業は現場が支えている」と強調する。大きな方向性はトップ層が示すものの、自分たちで考え自分たちで行動するボトムアップ型の元気で強い「現場力」をすべての組織が持つことが求められている。「組織のど真ん中は本部ではなく現場。それをみんながリスペクトし、現場が誇りを持っていることが大事」。ただし、現場力だからといって「現場任せではいけない。トップ層がどういう現場を作るか」。それには不安定、不確実なこの時代にあって、なぜこの組織は存在するのか、自分たちの価値は何か、それを実現した「ありたい姿」を描くことだという。言い換えれば「未来が読めない時代は未来は自らの手でつくる。」それを実践するのが現場で、職場づくりとは「未来をつくるため」だとも指摘する。
例として新幹線車内の清掃会社を挙げた。7分間で車内を完璧にする現場力は、「清掃会社」ではなく「おもてなしの会社」と自らを定義したことから生まれた。ハーバード大の教材にも取り上げられているほか、ビジネススタイルそのものを輸出してほしいとの評価も出てきたという。
一方、JAは組合員との接点を持つ職員1人1人の意識と行動が鍵。そのうえで、未来に向けてたとえば部門や役割を超えた連携やチームをつくる。現状改善型ではなく、すべてのプロセス、仕組みをゼロベースで見直す現状破壊型の現場力が今は求められており、組合員を巻き込んだお互いが活性化する活動につなげていけば、農業活性化の起点になる。職場づくりこそ、日本農業を元気にすることとと強調した。
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