「協同」の歴史と意義を考察-平成30年度JA研究賞2019年1月7日
JAとJAに関連する協同組合運動について優れた著書・研究論文を選定、表彰する平成30年度JA研究賞の表彰式が12月25日にJAビルで行われた。今回は小林国之北大准教授編著『北海道から農協改革を問う』(筑波書房)と高瀬雅男福島大名誉教授著『反トラスト法と協同組合-日米の適用除外立法の根拠と範囲』(日本経済評論社)の2作品。主催するJA全中の中家徹会長は2氏の研究成果に「非常に心強い」と話し、両氏の今後の研究活動に期待を寄せた。
(写真)JA研究賞を受賞した小林・北大准教授(左)と高瀬・福島大名誉教授。中央は中家JA全中会長
『北海道から農協改革を問う』は、農協法改正で改革を迫られている農協や農業について北海道の実態をふまえて問題点を明らかにする目的で執筆された。
北海道農業の調査・研究を行い、その成果を現場の発展に活かそうとする農業者や研究者、実務者などで1980年に設立された北海道農業研究会で、現場の感覚からはあまり異なる認識で政府の農協・農業改革が進められているのではないかとの危機感からの議論がきっかけとなったという。
同書は農協法改正の一連の経過とその本質、北海道農協の現状、准組合員の実態などを統計や調査などから明らかにしているほか、米政策や生乳の指定団体制度の見直しを含む農協の共販の役割などをはじめ農協事業の意義を明らかにした。
小林准教授は「政府の改革は農協が果たしてきた役割をゆがんで見たものではないかと指摘した。北海道の農協は地域で生きていくための物差しだ思う。農村が農村として存在することは都市にとっても大切。その役割を農協が果たしている」と話し、受賞について「これからも時宜を得た研究成果を、と励まされたのだと思う」と語っていた。
『反トラスト法と協同組合-日米の適用除外立法の根拠と範囲』は、一定の要件を備えた協同組合への独禁法適用除外について、母法となった米国の反トラスト法適用除外立法(クレイトン法6条、カッパー・ヴォルステッド法など)を研究した著書。研究の結果、農民が協同組合をつくり共同販売・購買に取り組むことについて歴史的経過のなかで内部行為を適用除外としてきたことを指摘し、これは米国農民の長年の立法運動によって獲得された権利であることを指摘した。
高瀬氏は日本の農協には共同販売事業などをめぐって独禁法違反に問われるケースが多く、逆風が吹いているが、「米国の経験は適用除外を守るために運動と研究が必要だということを示唆している」と強調した。
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