組合員の「声」起点にJA運営-第28回JA全国大会議案2019年2月14日
JA全中は2月8日の理事会で第28回JA全国大会議案を決めた。主題は「創造的自己改革の実践~組合員とともに農業・地域の未来を拓く~」。取り組みの基本姿勢として「JAは協同組合の原点に立ち返り組合員の『声』に基づく運営を徹底する」ことを掲げた。3月7日の全国大会で決議する。
◆改革成果を発信
第28回JA全国大会議案は、自己改革の成果と課題をふまえ、農業と地域社会、JAを取り巻く3つの危機(「農業・農村の危機」、「組織・事業・経営の危機」、「協同組合の危機」)をチャンスとして捉え、「農業者の所得増大」、「農業生産の拡大」、「地域の活性化」の3つの基本目標にさらに挑戦することを掲げた。
自己改革の取り組みでは農畜産物などの「販売品取扱高の拡大」をJAの共通目標としてきたが、平成28年度では改革に取り組む前の26年度にくらべて108.4%まで伸びた。重点実施事項のうち「生産資材価格の引き下げと低コスト生産技術の確立・普及」には、90%のJAで実施している。また、▽担い手経営体のニーズに応える個別対応(77%)、▽付加価値の増大と新たな需要開拓への挑戦(70%)、▽新たな担い手の育成や担い手のレベルアップ対策(81%)も着実な実践が進んでいる。
一方、▽マーケットインにもとづく生産・販売事業方式への転換(60%)、▽営農経済事業への経営資源のシフト(48%)などは、各JAが地域の実態に応じて創意工夫し、さらに取り組みを強化することが課題となっている。
こうした認識のもとに検討を進めてきた今回の全国大会議案のポイントは4つある。
1つは協同組合として組合員の「声」を起点に、持続可能な農業や豊かで暮らしやすい地域社会を実現していくための事業・活動に取り組むことを明確にしたことである。基本的な姿勢として▽JA役職員は組合員にホスピタリティ精神を持って接し、日常的に相互理解を深める、▽支店を核とする全戸訪問活動など組合員との対話運動に取り組むなどを挙げている。
2つ目のポイントは総合事業を基本とし、組合員の多様化と、変化し続ける環境のもとで自ら不断の改革に挑み続ける、を示したこと。
3つ目は本格的な世代交代期を迎え、急速に変化する農業生産構造に対応し、多様な組合員のニーズに応えていくため、事業モデルの転換等を果たす、である。
そして4つ目は人口減少・超高齢化社会を迎えるなか、組合員の暮らしに関するさまざまな課題に対応するため、地域の多様な組織と連携して地域の活性化に貢献する方針を打ち出したことである。
◆自己改革と経営基盤強化
地域の活性化では、「厚生・介護」、「生活・購買」、「信用・共済」を中心に、総合事業を通じた生活インフラ機能によってその一翼を担っていく。このほか、地方公共団体や他の協同組合、農林漁商工業団体、地域運営組織(RMO=地域の課題解決に向けた取り組みを持続的に実践する地域で暮らす人々が中心の組織)をはじめとして、多様な組織と連携することも重視していく。
また、3つの基本目標へのさらなる挑戦とそれを支える持続可能な経営基盤の確立・強化も重点課題とする。JAは将来見通しに基づき目標利益を設定するとともに、事業伸長と効率化・生産性向上などを内容とする経営基盤強化に向けた施策を検討・実施するとしている。事業の効率化にあたっては、組合員・利用者との接点を確保するとともに、ICTの活用などで業務・事務の効率化や、施設等の再編・統廃合を含む再配置なども検討する。
組合員とのアクティブメンバーシップの確立にも取り組む。JAはすべての組合員に地域農業・協同組合・JAの理解促進をはかり、JA事業の「複合利用」、JAくらしの活動の「複数・2段階参加」の促進に取り組む。また、実態とニーズに合わせて組合員組織を活性化し、組合員の意思反映・運営参画を進める。
准組合員ついては「地域農業や地域経済の発展を農業者とともに支えるパートナー」と位置づける。また、正組合員の営農を支える「地域農業振興の応援団」と定義し、「食べて応援」、「作って応援」にも取り組む。
JAグループは担い手経営体への総合的な事業提案による支援や、マーケットインに基づく生産・販売事業モデルの確立などを通じて農業者の所得増大、農業生産の拡大に取り組む。併せて国や地方公共団体に対しても、食料・農業・農村にかかわる基本政策を提案する。その際、家族農業をはじめ多様な農業が各地で持続的に展開することが、わが国の食料安全保障のあり方であることなど提起し、国民の理解と支持を得た政策展開を求めていく。
(関連記事)
・JA大会議案策定の基本的考え方決める JA全中(18.09.27)
・JA大会の「基本的考え方」を組織協議-JAグループ(18.06.19)
・自己改革の成果と実践打出す 次期JA全国大会は31年3月に開催-JA全中(17.10.06)
重要な記事
最新の記事
-
花業界の年末商戦は松市(まついち)からスタート【花づくりの現場から 宇田明】第48回2024年11月28日
-
ボトル小型化でGHG排出量3割削減 ゼロボードとの協業でCFP算定 バイエルクロップサイエンス2024年11月28日
-
リジェネラティブ農業を推進 25年に他社との共創プロジェクト バイエルクロップサイエンス2024年11月28日
-
続・どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第318回2024年11月28日
-
【TAC部門】優秀賞 一流の経営者に俺はなる JAしまね 大國満瑠氏2024年11月28日
-
【TAC部門】全農会長賞 「京おくら」産地化へ~ゼロからのスタート JA京都中央 佐藤聖也氏2024年11月28日
-
「古川モデル」子実トウモロコシから水田輪作へ JA古川、3年間の実証実験総括 農研機構東北農業研究センターの篠遠善哉主任研究員2024年11月28日
-
鳥インフル 米ノースダコタ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月28日
-
毎週の各国との電話会議・閣僚会合の現地での反対運動【近藤康男・TPPから見える風景】2024年11月28日
-
三島伝統のたくあん漬けや大根料理を堪能「三嶋大根祭り」開催 JAふじ伊豆2024年11月28日
-
9年連続の就任 コリラックマ「とちぎのいちご大使」に任命 JA全農とちぎ2024年11月28日
-
「ちょっといい日に和牛を食べようキャンペーン」開催 JAタウン2024年11月28日
-
適用拡大情報 殺菌剤「日曹ファンタジスタ顆粒水和剤」 日本曹達2024年11月28日
-
農薬登録変更 殺菌剤「日曹ストロビーフロアブル」 日本曹達2024年11月28日
-
農業IoTの通信インフラ整備へ 自治体や土地改良区と連携 farmo2024年11月28日
-
山梨県産フルーツ活用「やまなしスイーツコンテスト2024」初開催 山梨県2024年11月28日
-
価格高騰中の長ねぎ カットされる青い部分を商品化で大ヒット Oisix2024年11月28日
-
「幻の卵屋さん」京都駅に初出店 日本たまごかけごはん研究所2024年11月28日
-
「うまいに、まっすぐ。新潟県フェア」開催 県産農林水産物の魅力を体験 新潟県2024年11月28日
-
【役員人事】朝日アグリア(12月1日付)2024年11月28日