全中の一社化を正式決定 食料安保で特別決議も-JA全中総会2019年3月8日
JA全中は3月8日、東京都内で第65回通常総会を開き、30年度決算と31年度の事業計画を承認するとともに、これまで地区別の組合長会議や正副会長のJA訪問などで議論を重ねてきたJA全中の一般社団法人化についても正式に承認された。また、総会では「食料安全保障を柱とする基本政策の確立に向けた特別決議」も採択した。
総会での承認により、改正農協法の規定により今年9月30日をもってJA全中は特別法人から一般社団法人に移行することが正式に組織決定された。
中家会長は「組織形態が変わっても、本来の中央会の機能である代表機能や総合調整機能、相談機能は引き続き全中に必要とされる機能だと考えている。JAグループの代表として会員から求められる役割を果たし、従来にも増して存在価値のある組織になっていきたい」と語った。
7日は第28回JA全国大会を開催し大会決議「創造的自己改革の実践」を採択した。中家会長は「今大会では自己改革の見える化も極めて重要であり、JAの活動報告書をまとめた」として、肥料の価格引下げ率は1JAあたり平均6.9%、農薬では4.3%を実現したことなどに触れ、「これらは自己改革の成果として評価をしている。今後とも組合員や地域住民にとって、なくてはならない組織であり続けるために不断の改革を続けていく」と話した。
また、「食料安全保障を柱とする基本政策の確立に向けた特別決議」(別掲)とともに、7日の理事会で「持続可能な食と地域づくりに向けたJAグループの取り組み提案」についても紹介した。
提案は食料安全保障に国民的な議論を起こし、わが国の食と農、農村の実態への理解と関心を広め、農地や人、技術などの確保を地域で計画を策定するなどして着実に実現していく取り組みを提起したもの。
中家会長は「食料・農業・農村基本法制定から20年の節目で基本計画の見直しの年でもある。食料自給率・食料自給力の低下、災害の多発、TPP発効など国際化の急速な進展など、今ほど食料安保のリスクが大きくなっているときはない。国民の問題であると発信して日本農業が大事だと思ってもらう環境づくりに向けて発信していく」などと強調した。
(写真)中家JA全中会長
【食料安全保障を柱とする基本政策の確立に向けた特別決議】
我が国の食料・農業・農村は、食料自給率が低迷するなか、高齢化や担い手不足による生産基盤の縮小、自然災害の頻発、TPP11や日EU・EPA発効やTAG交渉など、多くの農政課題が山積している。
こうしたなかで、食料・農業・農村基本計画の見直しが行われる見通しであるが、国民消費者が期待する食料を安定的に供給していくためには、食料安全保障を柱とする基本政策を確立していくことが重要である。
また、日米交渉については、農林水産物は過去の経済連携協定で約束した以上の譲歩がないとした日米共同声明に基づき、断固とした対応で交渉が行われるべきである。
さらに、31年産米については、年々主食用米の消費量が減少するなか、非主食用米への作付転換が必須となっているが、すでに各県の目安の段階で、全国の生産見通しを超過し、備蓄米も全量落札されていないなど、このままでは、需給が緩和し、米価下落と農業所得の減少を招きかねない状況にある。
来年度は新たな中央会へ組織移行するが、結集軸としての役割を一層発揮し、食料安全保障を柱とする基本政策の確立に向けて、組織を挙げて、下記の事項に取り組む。
記
1.次期食料・農業・農村基本計画の策定にあたっては、食料安全保障の観点から、食料自給率・自給力の向上に向けた具体的な考え方や施策を提案し働きかけるとともに、国民消費者を巻き込んだ運動となるよう、JAグループ各段階で取り組みをすすめる。
2.31年産米については、水田フル活用の政策支援を最大限活用し、主食用米から飼料用米をはじめとした非主食用米への転換をすすめる。とりわけ、備蓄米は、不測時の備えなど食料安全保障に貢献することから、生産現場に積極的に周知し、取り組みをすすめる。
平成31年3月8日
全国農業協同組合中央会第65回通常総会
(関連記事)
・組合員の「声」起点に事業転換 第28回JA全国大会(19.03.08)
・【提言 農協改革の真の目的】農業者と共に国民に目を向け食料自給率の向上を目標に(田代洋一・横浜国立大学・大妻女子大学名誉教授)(19.03.06)
・【緊急特集・JA対話運動】第1回(上)<JA全中・中家徹会長>対話運動は協同組合の原点(19.03.04)
重要な記事
最新の記事
-
令和7年春の叙勲 JA山口中央会元会長・金子光夫氏、JAからつ組合長・堤武彦氏らが受章2025年4月29日
-
【'25新組合長に聞く】JAようてい(北海道) 金子辰四郎組合長(4/11就任) 「国民の胃袋」支える誇り胸に2025年4月28日
-
経営支え夢を応援 地域農業の発展、金融の力で 先進事例にみるJA・信連の取り組み(上)2025年4月28日
-
全農 備蓄米 4月に5万5000t出荷2025年4月28日
-
経営支え夢を応援 地域農業の発展、金融の力で 先進事例にみるJA・信連の取り組み(下)2025年4月28日
-
【JA人事】石塚克己(茨城県)石塚克己組合長を再任(4月26日)2025年4月28日
-
令和7年度「3-R畜産たい肥散布体験会」を開催 JA全農ひろしま2025年4月28日
-
【注意報】ムギ類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 愛知県2025年4月28日
-
二重米価制で農政を刷新せよ【森島 賢・正義派の農政論】2025年4月28日
-
ジャガイモ・馬鈴薯・ニドイモ・ナツイモ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第337回2025年4月28日
-
【農業協同組合研究会】5月31日に研究大会 新基本計画と今後の農政テーマに2025年4月28日
-
里山再生ビオトープ「クミカ レフュジア菊川」創設 クミアイ化学工業2025年4月28日
-
JA大阪南管内ブドウ圃場で農業資材「スキーポン」試験開始 アクプランタ2025年4月28日
-
「世界ミックスダブルスカーリング選手権」日本代表チームの食事をサポート JA全農2025年4月28日
-
「JA全農杯全国小学生選抜サッカー決勝大会」全国から出場計16チームが決定2025年4月28日
-
JAタウン イメージキャラクター「じぇー太」のクリアファイル新発売2025年4月28日
-
全農杯全日本卓球選手権大会栃木県予選会 副賞のとちぎ和牛など「ニッポンの食」で子どもたちを応援 JA全農とちぎ2025年4月28日
-
和紙の製造技術を応用した農業用マルチシート「和紙マルチ」販売開始 日本製紙パピリア2025年4月28日
-
国産ジビエ認証施設に宮城県「大崎市ジビエ食肉処理加工等施設」認証 農水省2025年4月28日
-
お茶を楽しむ「チャチャっとお茶生活キャンペーン」開始 農水省2025年4月28日