コメ 大幅な需給緩和も懸念-JA全中2019年6月27日
JA全中は6月の理事会で「令和2年度水田農業等に関するJAグループの基本的考え方」を決めた。JAグループは3月の全中通常総会で備蓄米の推進と飼料用米をはじめとした非主食用米の転換を進めるなどとした特別決議を採択したが、令和元年産の作付意向調査結果では主食用米は前年並み傾向となっており、さらなる推進が必要になっている。農水省は6月末となっている加工用米、新規需要米への取り組み計画書の提出期限について、6月21日、計画の追加や変更を7月末まで認めることを通知した。需要に応じた主食用米生産へ非主食用米の積み上げが求められる。
主食用米の需要は年間約10万t減少しており、需給と価格の安定を図るには主食用米以外の米を意欲的に生産していくことが求められている。
しかし、農水省が公表した4月末時点の都道府県の作付意向調査結果では7割程度が主食用の作付けを前年並みと回答している。一方、備蓄米は6月6日実施の第8回入札までで合計17万9000tと政府買入予定数量の85%程度まで落札したが、27日に残る2万9000tを確保するため第9回入札を実施する。
JAグループは備蓄米の推進を働きかけ昨年の約12万tよりも増えたが、各地の作付意向をみると、飼料用米、加工用米が備蓄米に転換していることもうかがえる。
農水省は昨年11月に策定した米の基本指針で元年産の生産量は718万t~726万tを適正水準とした。これによって来年6月末の民間在庫量が180万t~188万tになると見通している。
しかし、令和元年産の主食用米が平成30年産と同程度の作付けで作況が100だとすると最大で739万tとなる可能性があるとJA全中は試算している。試算では基本指針より生産量が13万t~21万t多くなり、このままでは来年6月末の民間在庫は201万tと適正在庫水準といわれる180万tを上回り、大幅な需給緩和につながる可能性ある。
需要は毎年10万t減少することをふまえると3年後には700万tを下回る需要量となることも見込まれている。したがって需要に応じた生産のためには、3年後には30年産生産量の733万tから40万t近くの減産が必要となる。中長期的な観点からも水田フル活用対策を活用し、主食用以外の米の作付けを増やす取り組みが求められる。
また、農水省は「令和元年産等における需要に応じた生産に向けた対応について」を各地方農政局に通知した。飼料用米、加工用米、米粉用米の実需者からも安定供給が求められていることから、各地の農業再生協議会などの関係機関に対して、飼料用米などのさらなる推進を図るよう指導、助言を求めている。
具体的には加工用米の取組計画認定申請書、新規需要米取組計画書などの提出期限について追加・変更を7月31日までとする。提出期限は6月末だが、その後に見直して加工用米等の積み上げを図って計画に変更がある場合は受け付けるという措置であり、産地には情勢を冷静に分析した対応が求められる。
また、27日に実施される政府備蓄米入札についても原則は6月下旬を最終回とする方針だが、買入予定数量に達せず、6月以降も必要があると判断する場合はさらに入札を行う方針だ。
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