新たな時代を目指して受賞者と交流 農協人文化賞記念パーティー2019年7月8日
表彰式、記念シンポジウムを終えた受賞者を囲む記念パーティー(懇親会)には、約150名が参集して和やかに開かれた。
懇親会に出席した受賞者
懇親会の会場での受賞者の様子は、表彰式とその後の記念シンポジウムでの報告といった大役を果たし、ほっと一安心した安堵からか穏やかな笑顔が戻ってきたような印象を受けた。
会場には、シンポジウムには間に合わなかったものの、仕事を終えて駆け付けてきた人を含めて約150名が参集した。当日は参議院選挙スタートの日ということもあって毎年参加している人が参加できないなどの事情はあったが、地方からの参加者も多くあり、例年通り、受賞者との穏やかで温かく交流する様子が随所でみられ、受賞者同士そして受賞者と参加者の親交が深まった一夜だった。
懇親会は、主催者を代表して(一社)農協協会の佐藤喜作会長と選考委員会委員長である今村奈良臣東京大学名誉教授のあいさつで始まった。
今村委員長は、水田農業の政策転換を活かして地域農業振興に力を注ぎながら、その成果をみることなく逝去した故・甲斐久晴氏(営農部門特別賞受賞)との思い出を語り紹介したのち、例年は今村委員長が受賞者紹介をしてきたが、今回は受賞者一人ひとりが「30秒以内で自己紹介」することを提案した。
これを受けて出席していた16名の受賞者が次々と壇上にあがり30秒以内で、自己紹介や地元の農畜産物や魅力をアピールして会場から大きな拍手を受けた。
その後、来賓のJA全農・加藤武参事、全国厚生連・雨宮勇会長、(一社)家の光協会・関口聡代表理事専務、新世紀JA研究会・八木岡努代表(JA水戸組合長)が祝辞を述べた。
加藤JA全農参事は、受賞者へのお祝いを述べるとともに、JA全農が今年度から始まった3か年計画で、「生産力の向上」に取り組んでいるが、現場を見ると「労働力が足りない」ので「労働力支援に本格的に取り組んでいくことにしている」と述べた。さらに最近話題の「農福連携」にも新たに取り組んでいくと決意を語った。
雨宮全国厚生連会長は、全国厚生連は33県にあり、全国に107病院がある。そのうち65%が人口5万人以下の地域にあり、本当に中山間地・地域を支える病院として活動していると報告。しかし、まだ「JAの病院」という認知度がまだ低い。これを高めるために佐久総合病院の取り組みに学び努力をしていきたいと語った。
関口家の光協会専務は、受賞者のこれまでの功績に敬意を表したあと、全国のJAでの自己改革の成果の見える化、対話運動に取り組んでいるが、今後、ますます民主的な自己改革が求められる中で、受賞者の方々は大きな力になると思うと述べた。
八木岡新世紀JA研究会代表は、日本のタネを守る会の代表でもあることから、種子法廃止後に20数県で、条例制定への取り組みが進められている。学校給食の無償化が進められており、そうした地域では給食においしいものを求める父兄が増えており、地域農業にとっては、大きなチャンスとなりつつあることに触れ、いまこそ地域農業の振興が大事だと問題提起した。
和やかな歓談で交流を深める参加者
来賓の祝辞に続いて、選考委員会を代表して、村上光雄JA全中元専務・JA三次元組合長が乾杯の音頭をとった。
乾杯に先立って村上氏は、関税が撤廃されつつあり、輸入農畜産物が堂々と店頭に並び、耕作放棄地が増え、政府が新自由主義を貫く逆境の中で、受賞者は確実にそれぞれの地域、それぞれの分野で素晴らしい成果をあげている。やはりリーダーが組合員と一緒になって歩んでいけば、確実に自己改革そして農業振興もできることを受賞者は示しており、農協の役職員・組合員が大きな勇気をいただいたと語った。
乾杯後は和やかな歓談の場となったが、参加した政治評論家の森田実氏が受賞者の功績を讃えるとともに、これからの農協運動の発展に期待すると述べた。
その後も互いに顔は知っていても北と南に離れていたりしてゆっくり話す機会が少なかった受賞者同士が、情報交換を兼ねて交流したり、受賞者と参加者が歓談したりするなどいくつもの輪ができ、時間を忘れての交流が続いた。
最後に農協協会職員による「ふるさと」の合唱が始めると、参加者全員がこれに和して時ならぬ大合唱となった。「ふるさと」の合唱は最近の農協協会開催イベントでは定番となっているが、佐藤会長が開会にあたって、私たちはまず地元・地域の人間であり、「地域を、地域の農業を元気にすることが、農協の仕事」だという主旨の挨拶をしたが、この歌は改めてそのことを思い起こさせる効果があったといえる。
最後に森島賢(一社)農協協会副会長が中締めをして、名残を惜しみつつ散会した。
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