協同組合間の連携を 「ファンづくり」探る JCAが職員交流セミナー2019年10月25日
(一社)日本協同組合連携機構(JCA)は10月24、25日、千葉市幕張のJA共済幕張研修センターで協同組合・協同会社職員交流セミナーを開いた。JA・生協・森林組合などの職員約60人が参加。協同組合の意義、組織力の発揮、協同組合間の連携、人を大切にする経営等について学び、それぞれの経験を踏まえ交流した。
ワークショップの内容について報告する参加者
このセミナーは、協同組合組織間の連携を深める目的でテーマを決め、毎年開いている。今年のテーマは「協同組合のファンづくりのために」。そのためには協同組合・協同会社で働く職員・社員はどうあるべきか、何が求められているかなどについてグループ討議した。
基調講演で増田佳昭・立命館大学招聘教授が、ファンづくりのためには協同組合の組織特性をどのように活かすか、について話した。同教授はロッチデールやライファイゼンから始まる協同組合の歴史に触れ、組合員のニーズや願いを解決するための組織づくり、事業方式の工夫という面で現代につながることを強調した。
また、「組織」と「事業」の2面性を持つ協同組合組織の特徴をあげ、「組織があってこそ事業がうまくいく」と、組織活動の重要性を指摘。その上で、(1)協同組合としての強みをどう活かすか、どう作るかを常に考え行動する、(2)必ず組合員視点でモノを考える。そうすると見えてくることがある、(3)組合員との直接的なコミュニケーションを大事にする。やはり面識性は協同組合の最大の強みだと話した。
JAの実践報告では、神奈川県JAはだのの宮永均専務が、同JAの組合員力、役職員力発揮のための取り組みについて話した。特に組合員の意思反映のため、総会のほか座談会や組合員宅の訪問活動を重視しており、『お互いに知り合おう・学び合おう・助け合おう』のもと、組合員・役職員が学び合いながら、地域における組織活動を行うことで、組合員・JA・地域が元気になる」と、「学び」の大切さを強調した。
生協からは、福井県民生協の中川政弘執行役員が、農業へのチャレンジで報告した。同生協は農業法人(株式会社)を設立し、農地中間管理機構を通じて30haの農地を耕作。キャベツやダイコン、ブドウなどを栽培し、生協組合員によるボランティア、生協を通じた販路など、生協ならではの強みを生かした経営を行っている。GAPにも挑戦。「技術がないので、GAPはそれを補う経営ツールとして活用している」という。福井県経済連と連携して食品加工センターを建設し、「夕食弁当」などの宅配にも取り組んでいる。
信用金庫では東京都や神奈川県をエリアとする城南信用金庫人事部・人財育成担当の宮島いみ子顧問が「人を大切にする経営」で報告。同金庫は「金融機関という枠を超えた『お客様応援企業』を目指す」という。そのため同金庫の経営計画には数値目標がなく、「お客さまに喜んでいただき、地域社会の発展に貢献することが経営の目的で、利益はあくまでも『お客さまからの感謝と期待のバロメーター』として捉えている」と言い切る。
この基調講演と3つの実践報告を踏まえ、参加者全員でワールドカフェ方式のワークショップを行い、協同組合の意義、協同組合人として何を大切西無ければならないかなどについて話し合い。問題意識を共有した。
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