金賞は尾形儀一さんに ふくしま・かわまた米コンテスト2019年11月25日
「第5回ふくしま・かわまた米コンテスト」が、11月22日、東京・大手町JAビルの農業・農村ギャラリー「ミノーレ」で開催され、金賞(第1位)には、2年連続で福島県福島市の尾形儀一さんのコシヒカリが選ばれた。
2年連続で金賞を受賞した尾形儀一さん
このコンテストは2015年から開始され、第5回目となる今回、初めて東京都内で開催された。
コンテストを始めた経緯は、東日本大震災後、福島県の農業を取り巻く環境が大きく変化し、野菜や果物の売り上げが回復していく一方で、米の価格や流通の復旧の見込みが立たないという現実に直面したことにある。
こうした状況を受け、「福島県産米のブランド力向上」「生産者の意欲向上」「地元消費者へのPR」を目的とした米コンテストが始まった。
主催は、福島市・川俣町・JAふくしま未来・福島大学おかわり農園でつくる「ふくしま・かわまた米コンテスト実行委員会」で、運営は、福島大学食農学類の「小山良太ゼミナール『おかわり農園』」の大学生が中心となって行っている。
左・実行委員会委員長の福島市の木幡浩市長、中・実行委員会委員のJAふくしま未来の菅野孝志代表理事理事長と右・川俣町の佐藤金正町長
コンテストの開会あいさつで、実行委員長の木幡浩・福島市長は、「福島の米は全量検査している安全なお米だ。このコンクールを今回初めて東京で開催する。今回も選び抜かれたおいしいお米を生産する5人がノミネートされた。福島の米は風評に苦しめられてきたが、その払拭にご協力いただきたい。また、福島大学の学生たちが明るいイメージで農業に取り組んでいる。来年の4月から放送されるNHKの朝ドラ『エール』のモデルは、福島市がふるさとの作曲家、古関裕而・金子夫妻がモデルだ」などと来年に向けた期待を述べた。
また、実行委員会メンバーの菅野孝志JAふくしま未来代表理事組合長は、「福島にはおいしい農畜産物が多い。また、GAPへの取り組みも多いなど、安心で安全な農畜産物を提供している。今日のコンテストは、まちがいなくおいしいお米ばかりがノミネートされている。どれが選ばれるかわからないが、審査員の1人として真剣に受賞者を選びたい」などとあいさつした。
官能審査の様子
その後、行われたコンテストの趣旨説明で、小山良太福島大学食農学類教授は「これまで4回のコンテストを行ってきたが、毎回、米の品質が向上し、平均レベルも高くなった。また、酒米のレベルが上がっている。こうしたコンテストは、産地をつくる上で重要な役割を果たしていると思う」などとコンテストの意義を強調した。
今回のコンテストには、福島市と川俣町の生産者から61点の応募があり、機械による第1次審査で、米の水分・脂肪酸・タンパク質の量などを厳密に数値化し、上位5点(5人)を選出した。第2次審査では、官能検査を行い、審査員が食べ、香り・粘り・硬さなどを評価項目とし、総合的に審査し、総合点が最も高かったものが金賞となる。
審査は、木幡浩・福島市長、佐藤金正・川俣町長、菅野孝志・JAふくしま未来代表理事組合長、比嘉正浩・JA全中専務理事、世永亜美・(株)サマンサタバサジャパンリミテッド取締役、米・食味鑑定士の芦垣裕氏、日本生協連ブランド戦略本部の藤本友子氏によって行われた。
審査結果は次のとおりとなった。
▽金賞 尾形儀一さん(コシヒカリ・福島市)
▽銀賞 清野壽一さん(コシヒカリ・福島市)
▽銀賞 古関善寛さん(コシヒカリ・福島市)
▽銅賞 斉藤博美さん(コシヒカリ・川俣町)
▽銅賞 橋本英行さん(コシヒカリ・福島市)
表彰式の後のインタビューで、2年連続で金賞を受賞した尾形さんは「最高です」と努力の成果を喜んだ。
また、米の国際コンクールで審査員も務める、米・食味鑑定士の芦垣裕氏が、「今回の審査はすべてコシヒカリだったが、それぞれ違いがあった。そして福島のコシヒカリの良さが出ていた。これから福島のお米の評価はもっと伸びる」と審査講評を語った。
最後にあいさつした、川俣町の佐藤金正町長は「福島は復興ではなく、今や自分の足で歩き出した。努力を積み重ねてきた結果だ。来年もまた良い米を作ってほしい。福島の米、万歳!」とコンテストを結んだ。
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