「地域づくりと持続性」で若手研究員が交流研修 JA系3シンクタンク2019年11月29日
協同組合のシンクタンクの役割を持つJCA(日本協同組合連携機構)、JA共済総研、農中総研の若手研究者が11月27日、東京都新宿区飯田橋のレインボービルで交流研修会を行った。任意参加の研究者の自主的集まりで、今回で2回目。問題意識で共通する「『地域づくりと持続性』にどう向き合うか」のテーマで、研究報告とディスカッションを行った。
研究報告では「SDGsと協同組合の役割」で、JCAの基礎研究部副主任研究員・阿高あや氏が、JCAの調査をもとに、日本のJAでのSDGs対する認識の低さを指摘。国連の「小農宣言」にも背を向けている日本政府の姿勢に対し「協同組合は事業と活動の棚卸しを行い新たな地域課題の掘り起こしを行い、SDGsを事業計画に落とし込むべきだ」と、協同組合の進むべき方向について問題提起した。
またJA共済総研地域再生基盤グループの大友和佳子研究員は、東日本大震災に遭った宮城県期気仙沼市で若手移住者が増えている唐桑地区をレポート。大震災ではボランティアとして入った若者が、定住を含め、何らかの形で関係を続けたケースが多く、唐桑でも20人前後が移住した。
そこで移住者と受け入れ側の地元住民のアンケート調査をもとにその関係を分析。それによると、大震災のボランティアに対し、風呂の提供や活動の拠点となる事務所の提供など、地域のニーズとボランティアをつなぐなど、年配の層を中心にコミュニティレベルの積極的な支援活動があったと言う。
つまり地域住民と移住者をつなぐ場・人による"開かれた自治"があったというわけだ。
一方で、若年移住社と地元の若年層との繋がりの弱さ、移住者によって地域の魅力や可能性を見出すことはできたが、地域には、それを産業化するスキルがないなどの問題点を挙げた。
このほか、農中総研基礎研究部の亀岡鉱平研究員が「浜の活力再生広域プラン」の取り組みを報告。このプランは複数の漁協が連携して浜の機能再編や中核的担い手の取り組みを策定するもので、令和元年8月現在で、153地区で策定済み。亀岡研究員は、「この成果を検証し、引き続き取り組む必要がある」と指摘した。
なお、グループワークでは、当事者でない研究者は、地域に対しどのように向かい合うべきか、などについて意見交換した。
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