米の集荷強化へ 3年契約、固定価格で買い取り JAはだの2020年6月3日
神奈川県秦野市のJAはだのは、JA全農と連携し、同市の農業生産法人大地と、3年にわたって固定価格で米を買い取る複数年契約を結んだ。米の買い取り価格や集荷袋数などを確約するため、JAと同社双方にメリットがある。この取り組みは、JA全農が進める米の集荷強化事業の一環で、県内での導入は初めて。
米買取りの複数年契約を結んだ大地の小泉代表とJAはだののTACら(神奈川県秦野市)
同契約は、JAはだの、全農、大地の3者契約。毎年100袋(1袋30キロ)を2022年産までの3年間、固定価格で買い取る。同JAは検査と集荷を担い、全農は米の供給先を確保。同社は、需給環境によって毎年変動する米の価格が高水準で固定されることにより、収入が安定する。また、販路も確保されるため在庫を抱えるリスクもなく、経営の安定につながる。JAにとっても、集荷量が増加するなど、農業法人へのアプローチの手段の一つになる。
複数年契約は、業務用の多収米を中心に全国で広がっている取り組みだが、同契約は主食用米として生産する神奈川県の奨励品種「はるみ」を対象としていることが特徴。JAが買取り価格をより高水準化できる上、質の高い米を安定的に確保できる利点がある。
同社は、15haの畑や水田で、水稲や小麦、大豆などを栽培。米は「はるみ」や「キヌヒカリ」など年間約18トンを生産し、JAに出荷するほか、消費者に直接販売してきた。JAは、同社からの集荷袋数を増やそうと、JA担当者(TAC)が出向き、全農とも協力する中で複数年契約を提案し、今回の締結にいたった。
同社の小泉達雄代表は「新型コロナのように予期できない状況の変化がある。固定契約は経営上のリスクを分散させることにも役立つ」と話した。また、JAは「新たな切り口で農業生産法人へアプローチができた。県内で栽培が増えている品種はるみの契約なので、県独自の枠組みを確立できれば」と話している。
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