労働力確保へ「1日農業バイト」アプリ活用 北海道のJAで2020年6月9日
新型コロナウイルスの影響もあり農業現場での人手不足がより深刻化する中、1日単位で農業のバイトができるアプリ「1日農業バイトdaywork(デイワーク)」が北海道内のJAで活用されている。平取町のJAびらとりでも5月にこのアプリを活用し、田植えに必要な労働力を確保した。
JA幕別町の堀内農場で長芋の収穫を手伝ったdayworkの利用者
dayworkはアルバイトを雇いたい農家と、働きたい人をインターネットでつなぐマッチングシステム。農業の雇用といえば数週間の連続した単位になり、農繁期だけ手伝いに来てくれる人を見つけることは難しいが、同サービスは、期間ではなく1日単位でマッチングするため無駄がなく、地域に住む人に自分の休日を利用して気軽に農作業を手伝ってもらえる。また、スマホで自動的にマッチングするため仲介の手間がかからず、生産者、求職者、JAともに完全無料で利用可能。労働賃金の「中抜き」がないのも特長だ。2019年に、北海道の十勝地方でサービスを開始してから、延べ4000人以上のマッチングに成功した。
現在、サービスを活用しているのは北海道内の27JA。5月11日に田植えの手伝いを募集したJAびらとりでは3人の募集に対し、農業に興味があるサラリーマンなど20代から40代の男女から21人の応募があった。これまでは近場の人しか集まらなかったのが、ドライブがてら約2時間かけて来てくれる人もいるなど応募範囲も拡がったという。
同JA営農生産部の横堤宏之部長は「これからの労働力不足には必要なサービス。家族労働で間に合う経営でも一時的に労働が増える場面でとても有効だ」と高く評価。また、農家と働き手のアルバイトが直接交渉できることから、仲介によるトラブルを避けられるところも農協にとってはメリットだという。
アプリを開発した鎌倉インダストリーズ(神奈川県鎌倉市)の原雄二社長は、「通年雇用ではなく農繁期だけ多くの人手が必要となる農業特有の問題を解決するには一番よい方法だと思う」と話す。現在、JA帯広かわにし、JAいしかりなど北海道内のJAで活用されているが、今年は秋田県、福島県、長野県、静岡県でもサービスを開始。また、今年度から農林中金の農林水産業みらい基金から助成を受けることが決まり、今後数年間は農家側もアルバイト側も無料で利用できる予定だ。
dayworkによる新しい労働力の募集
同サービスは、仲介不要で費用をかけずに求人ができる上、副業として地域の人々に助けてもらうという特性から、インターネット広告を使い生産者と求職者に直接呼びかけるだけで、地域のJAの協力がなくても始められる。
「農業は必要不可欠で非常に重要なもの。農業のマッチングは通常のビジネスと同列とは考えていない」と話す原社長は、北海道陸別町出身のエンジニア。道内のJAに勤める中学校の同級生から掲示板の作成を頼まれたことをきっかけに農業に関わり、同サービスへの取り組みを通じて「農業で働けば全ての対価を労働者が得られ、健康でさえあれば農業を通じて食べるのに困らない社会」をめざしている。
◎dayworkを活用している北海道内のJA
JAいしかり、JAきたそらち、JAきたみらい、JAさつない、JAさらべつ、JAながぬま、JAなんぽろ、JAびらとり、JAめむろ、JA伊達市、JA北はるか、JA十勝池田町、JA十勝清水町、JA十勝高島、JA帯広かわにし、JA帯広大正、JA幕別町、JA忠類、JA新すながわ、JA新はこだて、JA新得町、JA月形町、JA本別町、JA豊頃町、JA道北なよろ、JAあさひかわ、JAむかわ、JA新おたる(※)、JAとまこまい広域(※)、JAぴっぷ(※)、JAびほろ(※)、JAきたひやま(※)
※は導入に向けて調整中
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