ICAが2030年に向けた戦略を発表2020年7月29日
国際協同組合同盟(ICA)は7月6日、2030年に向けた戦略「協同組合の第2の10年に向けた人々を中心に据えた道のり―2020-2030戦略計画―」を発表した。
同戦略計画は、2020年に向けた世界の協同組合の戦略「協同組合の10年に向けたブループリント」を見直したもので、「ブループリント」が掲げたビジョンを引き継ぎ、「協同組合のアイデンティティ推進」「協同組合運動の成長」「協同組合間協同」「世界の持続可能な開発への貢献」を4つの大きな柱としている。
一つ目の「協同組合のアイデンティティ推進」は、協同組合の価値と原則を推進し、擁護することが目的。 関係者や一般市民に対する認知として、協同組合は事業モデルだけでなく、社会および経済的問題へ対応する草の根レベルの力を明示するものでもあることを発信する。また、国際機関からの支援として、協同組合のアイデンティティを積極的に認知することと、その認知を機関の目的、プログラムおよび方法に組み込みことを求めていく。さらに、教育に関しては、協同組合と協同組合のアイデンティティが、世界中の教育システムから排除されていることに鑑み、ビジネス、政治学、歴史、文化人類学、社会学、哲学、開発および環境学などの学問領域での変化があらゆる教育レベルで起きることを望み、小中学校のカリキュラムに協同組合が組み込まれるべきと考えている。
2つ目の「協同組合運動の成長」は、「相互自助と民主主義に基づき、世界の協同組合運動を推進する」ことが目的。協同組合運動の内生的成長の推進を目指したICA内の国際的取り組みに重点を置く。戦略的目標として、協同組合運動の強化を挙げ、団結および成長に向けて協同組合運動を推進し、運動の意欲を高める中で、会員の関与、アドボカシー、パートナーシップ、研究およびコミュニケーションを統合し、特にジェンダー平等や世代間継承に留意する。対応する戦略的取り組みとして、「ICA会員の拡大と関与を推進する」「ICA組織間のコーディネーションを深める」「世界的なパートナーシップおよび提携を拡大し深める」「協同組合運動の政策的影響力を深める」「協同組合運動に関する世界的な知識を発展させる」「協同組合の経済的役割を深める」「協同組合間で協同組合資本を構築する」「協同組合運動のコミュニケーション能力を深める」「若者の関与を深める 」「ジェンダー平等を推進する 」の10項目を挙げている。
3つ目の「協同組合間協同」は、「会員組織間の経済的およびその他の相互に有益な関係の発展を促進する」ことが目的。これは、協同組合運動の存在自体にとってカギとなる条件で協同組合運動の存在自体にとってカギとなる条件であり、協同組合間協同を強化し、特に部門間協同に注目して協同組合グループやネットワークを拡大しなければならないとしている。
4つ目の「世界の持続可能な開発への貢献」は、目的に「持続可能な人間開発の推進と人々の経済的・社会的な進歩を促進し、もって国際平和と安全保障に貢献する」ことを掲げ、SDGs に明記されている持続可能な開発や平和に協同組合が、地方や地域レベルでいかに貢献しているかに重点を置く。対応する戦略的取り組みとして、「協同組合によるSDGsへの貢献の指標を特定する」「SDGsへの協同組合の貢献について報告する」 「SDGsに関するアドボカシーを展開する」「国際的な開発協力を支援する協同組合運動の取り組みを深める」の4つの項目について取り組んでいく。
発表では、協同組合の次の10年に向けた戦略計画のまとめとして、「協同組合の10年に向けたブループリント」と同様に、同文書で提案された取り組みは、世界中で高まる人々の基本的な経済、社会および環境的ニーズと合致しており、持続可能性と人への配慮を明確に優先しながら対応しなければならないとしている。また、「協同組合モデルは、民主的なエンパワーメントを通じて人々の経済・社会・文化的ニーズに応える、具体的で十分に実証された方法である」とし、世界人口の12%が協同組合の組合員と推定される中、「協同組合運動の力や可能性、また協同組合が自分たちの生活をどのように変革できるかについて、ほとんどの人はわかっていない」と述べ、「人類や地球が経済、社会および環境面で持続可能となれるよう、協同組合モデルを効果的に機能させる上で、国際協同組合運動に携わる私たち一人一人には重大な責任と役割がある」と締めくくっている。
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