不断の自己改革 対話運動を継続-JA全中 中家会長再任2020年8月21日
JA全中は8月20日、通常総会を開き中家徹会長(JA和歌山中央会会長)を再任した。副会長には金原壽秀JA佐賀中央会会長を再任し、菅野孝志JA中央会会長を新任した。総会後の理事会で新たに馬場利彦氏が専務、山下富徳氏が常務に選任された。
二期目となる中家会長は就任会見で4つの課題を強調した。
1つは「不断の自己改革と准組合員利用制限の阻止」。JAの自己改革は昨年5月を期限とする農協改革集中推進期間の取り組みで一定の成果をあげたが、中家会長は「JAはなくてはならない組織という評価を得るには改革に終わりはない」と語った。また、改正農協法で来年3月が調査期限とされている准組合員の事業利用規制問題については与党は組合員が判断する問題との方針を示しているが、「引き続き准組合員の参加、参画を強化していく」と准組合員のアクティブメンバーシップの強化を挙げた。
2点めは「持続可能なJA経営基盤の強化と対話運動」。信用事業収益が厳しくなるなか、JAはビジネスモデルの転換やデジタル技術の活用によって経済事業の収支改善などに取り組む必要があるが、現場で改革を進めるために「もっとも重要なことは組合員の理解。そのため徹底的に対話して課題を共有し、改善方策をともに考えることが大切だ」と述べた。
3点めは「食料安保の確立に向けた基本計画の実践と国民理解の促進」。気候変動や災害の多発などで食料安保へのリスクが高まっていることを国民に伝えて関心を高め、家族農業や地域政策を重視する今回の基本計画をいかに実践し成果をあげるかが課題だとした。実践は域で行政と連携して取り組んでいくことも大事だと述べた。
4点目に挙げたのは「新型コロナウイルスへの対応」。中家会長はJAグループとして需要が落ち込んだ国産農畜産物の需要喚起に取り組むとともに、教訓を活かす必要があることも強調した。マスク不足になったことを振り返り「国民が必要とするものは自国でつくる国消国産が大事ではないか」と指摘するとともに、東京一極集中の是正と田園回帰の加速化、コロナ禍でさまざまな助け合いが生まれているとして相互扶助の大切さなども挙げた。
こうした課題に「農協運動に携わって半世紀の集大成として全力を挙げて取り組んでいきたい」と強調した。
金原副会長は「農政担当として課題克服に取り組む」と述べ、菅野副会長は「自給率向上はJAが自らどう取り組むかが課題」などと述べた。馬場専務は会長、副会長が挙げた課題の実現に努めることが役割と強調した。
【JA全中 新体制】
(なかや・とおる)昭和24年12月生まれ。中央協同組合学園卒。平成16年JA紀南代表理事組合長、24年JA和歌山中央会会長、26年JA全中副会長、29年JA全中会長
(かねはら・としひで)昭和25年2月生まれ。佐賀県農業研修学園(現佐賀県農業大学校)卒。平成23年JAさが常務理事、26年同JA代表理事組合長、JA佐賀中央会副会長、29年JA佐賀中央会会長、JA全中副会長
新任
(かんの・たかし)昭和27年2月生まれ。福島県農業短期大学校。平成22年JA新ふくしま代表理事専務、25年同JA代表理事組合長、28年JAふくしま未来代表理事組合長、令和元年JA福島中央会会長、2年JAふくしま未来会長理事
新任
(ばば・としひこ)昭和32年11月生まれ。佐賀大学大学院農学研究科卒。58年JA全中入会、平成21年農業対策部長、23年参事、30年参事兼基本政策対策室長、令和元年日本協同組合連携機構代表理事専務
(いしどう・まさひろ)昭和34年7月生まれ。東北大学理学部卒。58年JA共済連入会、平成23年開発部長、26年埼玉県本部長、27年参事、29年JA全中常務理事
(ひじおか・ひろのり)昭和35年5月生まれ。北海道大学農学部卒。58年JA全農入会。平成24年業務監査部部長、26年総合企画部部長、29年JA全中常務理事
(やまだ・ひであき)昭和35年7月生まれ。京都大学法学部卒。60年農林中央金庫入庫、平成22年農林水産環境事業部長、24年仙台支店長、27年常務理事、29年JA全中常務理事
新任
(やました・とみのり)昭和39年1月生まれ。京都大学農学部卒。61年JA全中入会、平成26年経営対策部長、JA改革対策部長、27年JA改革推進部長、29年総務企画部長
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