JA全農 コロナ禍で新事業戦略 JAタウン出店3倍へ2020年12月18日
JA全農はコロナ禍で増加するEコマースへの集中投資や、消費行動の変化に対応した物流機能の構築など新たな事業戦略を展開する。
JA全農が12月16日に明らかにした上半期事業収益は2兆8039億円で、前年比1200億円減となった。巣ごもり需要で家庭消費が伸びたことから青果物の販売は伸び、園芸部門は340億円増となったものの、外食需要の減少による業務用米の販売減で米穀農産部門は305億円の減少となった。
畜産部門は外食向けが中心の牛肉販売が大きく落ち込んだが、家庭消費の伸びで鶏肉販売は増加し畜産部門は75億円の減少にとどまった。
生産資材部門はJAの展示会やJA祭りなどの延期や中止が相次いだことや、長雨による肥料の販売減少などで346億円の減少となった。生活関連部門は原油価格の下落と移動自粛によるガソリン需要の落ち込みなどが響き903億円の減少となった。
野口栄代表理事専務は下期について野菜価格の低迷や米の需給緩和によって取扱高の減少が懸念されるものの、「利益については経費削減に努め計画達成に向け推進していく」と述べた。令和2年度の事業計画では経常利益6500億円を計画している。
全農はコロナ禍で変化した消費行動に対応した事業を展開する。総務省の家計調査報告によると今年3月から10月までに間に家庭内食費は前年比5%増、外食は36%減、食品のネット購入は63%増となっている。
コロナ禍で外食向け食材の在庫が増加したが、日本生協連によると巣ごもり需要で生協の宅配事業が前年比18%増加した(4~9月)。また、JA全農ではJAタウンの一般消費者向け販売が3倍増の205%(4~9月)となった。外食向けの和牛や、贈答用の高級フルーツなどもJAタウンで販売した。取引き先が多様でさまざまなチャネルを持つ全農だからこそ対応できた。
こうした変化にともなって包装や小分け作業の増加、保全性需要の増加、持ち帰りや宅配需要の拡大などがコロナ時代の事業に求められるとしてJA全農は消費行動の変化に対応した物流機能の構築、Eコマース事業への集中的な投資などを行う。野口専務はネットによる購入といった消費行動は定着するとして「2022年度までにJAタウンの出店数、取扱い品目数を現在の3倍とする」と述べた。
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