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全農会長賞にJAぎふ-TACパワーアップ大会20202021年1月15日

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JA全農は1月14日、全国のTAC活動の成果を共有する全国大会「TACパワーアップ大会2020」をオンラインで開催した。JA表彰では全農会長賞をJAぎふが受賞した。

地域農業の担い手に出向き農業経営の相談への対応やJAへの声などを聞く担当者であるTACは現在、235JAで計1644名いる。約6万8000の担い手を日々訪問し、JAへの意見や要望の聞き取りを年間約59万回行っている。

JA全農の菅野幸雄経営管理委員会会長JA全農の菅野幸雄経営管理委員会会長

JA全農の菅野幸雄経営管理委員会会長は「コロナ禍にあっても全国のTACは担い手と一緒に生産、販売の課題を共有し解決するなど、活動の継続と質の向上に努力を続けている」と評価。また、最近では担い手のニーズは農業生産振興や経営相談にとどまらず、労働力不足、事業承継支援など多様化、専門化していることを指摘。

「今やTACには地域農業のコーディネーターだけでなくリーダーとしての役割も期待されている」と激励し「地域農業のリーダーづくりに積極的に取り組み全国のTACがより一層活躍できるよう最大限支援していく」と述べた。

農水省経営局の大島英彦参事官農水省経営局の大島英彦参事官

来賓の農水省経営局の大島英彦参事官は「組合員との距離を縮め声をどう反映していくかはJAのもっともコアな部分。優良事例を全国に周知して地域農業を発展させるTACを軸としたJAの活動に期待する」などと述べた。

13回めの今大会は▽出向く態勢の強化とJAの総合力の発揮、▽環境変化に柔軟に対応するTAC活動の実践、▽TACのネットワーク強化をテーマに優秀な活動をしているJAとTACの表彰と事例発表を行った。

櫻井宏代表理事組合長を表彰する菅野全農会長櫻井宏代表理事組合長を表彰する菅野全農会長

挑戦をやめないJA

JA表彰で全農会長賞を受賞したのはJAぎふ。同JAは本店営農部内に水稲TAC4人、園芸TAC4人の計8人を配置。1人あたりの訪問担い手数は認定農業者、新規就農者など30~50で、各TACが研究テーマを持ち、普及成果発表会でプレゼンも行う。

水田農業については「土地利用率を極限まで高める」ことを目的に、3品種の輸出向け米栽培とパン用小麦を組み合わせた3年5作体系を提案。関係機関と連携して無人ロボットトラクターや直進アシスト付き田植機などスマート農業実証プロジェクトに取り組んだ。

生産者にスマート農機を実際に見てそのメリットを知る機会の提供となるとともに、実需者が産地を理解することにもつながったという。スマート農機を導入する生産者も増え、また実需者との複数年契約も増えた。こうした取り組みで多収品種への切り替えも進み「にじのきらめき」は2019年の30haが2020年には180haまで増えた。

また、労働力が不足している地域ではTACが生産者から要望を聞き取り、求人広告の制作とホームページでの発信、さらには面接までJAがセッティングしている。そのほか集落営農組織や農業法人に対し、的確な営農計画の作成や作業分担、業務改善を行うために「組織力向上プログラム」の導入を提案した。その結果、離職率の減少や事業承継促進につながったという。

コロナ禍ではチラシ投函による支援策の説明や、電話相談、ウェブ会議活用も。「地域社会に貢献するため、絶えず新しいことに挑戦していきたい」と話す。

地域農業のリーダーに

JA表彰のJAいわて中央は、農家手取り最大化実践メニューの提案で4割の所得向上を実現したほか、Z-GIS導入によるほ場管理提案や人工衛星センシングの導入による生育状態の「見える化」支援などの行っている。農業ICTの導入は営農ビジネスモデルの提案でもあり、後継者、新規就農者に影響を与えている。また、無料職業紹介所と連携した労働力支援にも取り組む。

TAC活動は地道に継続することが大事で活動を見える化して部門間で共有することが地域農業の課題解決になるという。

JAにしみのは、業務用向け新品種「ほしじるし」を複数年買い取り方式を提案。JA未利用農家には専用に開発した肥料とともに提案するなどで作付け面積の拡大と安定供給に結びついた。JA利用の拡大につなげている。周年雇用の確保ための機械化体系による加工業務用野菜の提案なども行った。作付け面積が大幅に拡大し、キャベツは10年前にほとんど作付けがなかったのが58haまで増え産地を形成した。

時代の変化とともに柔軟な対応ができるTAC、自ら考え自ら行動する地域農業のキーマンをめざす。

JAおちいまばりは特産であるサトイモの生産振興のために労働力を軽減する機械化一貫体系の提案や、広域選果施設の活用促進などに取り組んだ。これによって、ほ場の準備から植え付け、収穫・選別まで従来より87時間の省力化に成功したという。新規就農者の育成にも力を入れるが、農業技術の研修だけでなく、地域行事への参加をサポートするなど地域に信頼、期待される担い手育成をめざす。

TACは自分の疑問を発信したり、「やりたい」という思いを明確にすることが大切で、地域・組合員・JAのすべてを巻き込むコーディネーターだと全国に発信した。

全国表彰を3回以上受賞したJAのTAC活動レベルの高い水準で維持することを目的にしたTACトップランナーズ表彰はJA新いわてとJAふくおか八女が受賞した。
JA新いわては、TAC月次会議の定例化や行政との連携などに早期から取り組み、情報共有の徹底で担い手の経営改善や地域農業の活性化に大きく貢献している。

JAふくおか八女は、「法人の10年運営プラン」など経営改善支援策づくりに取り組み、将来ビジョンを明確にし、TACを中心とした事業連携で産地の活性化に貢献している。

JA全農所属の卓球女子日本代表の石川佳純選手JA全農所属の卓球女子日本代表 石川佳純選手

日本農業発展の架け橋に

JAおおふなと営農企画課の中村明子氏JAおおふなと営農企画課の中村明子氏
(画面右上)

そのほか9人のTAC表彰者と2JAの担い手向けTAC通信表彰の担当者が創意工夫を凝らした動画メッセージを全国に発信した。

また、JA全農所属の卓球女子日本代表の石川佳純選手がメッセージを寄せた。「私の力の源は日本の食材。TACのみなさんが農家と一緒に生産した国産農産物を食べてメダルをとれるようにかんばりたい。これからも担い手農家のみなさんとともに日本の農家を盛り上げてください」と話した。

大会宣言はJAおおふなと営農企画課の中村明子氏が読み上げた。

閉会のあいさつで宗和弘JA全農耕種総合対策部長はTACに求められることは時代の変化で変わっていくが「忘れてはならないのは担い手との信頼関係を築くという原点。担い手と二人三脚で日本農業を発展させていく架け橋になってほしい」と話した。

宗和弘JA全農耕種総合対策部長宗和弘JA全農耕種総合対策部長

【TAC表彰】(敬称略)
JAいわて花巻・葛巻剛JAおおふなと・中村明子
JAいわて平泉・菊地俊郎
JA小松市・橋本克巳
JA石川かほく・櫻井和幸
JA豊橋・古志野瑞樹
JAおうみ冨士・内藤彰紀
JAしまね・渡部直樹、片寄俊一

【担い手向けTAC通信表彰】
JA金沢市
JAたじま

【大会宣言】
われわれTACは、この未曾有の困難を乗り越え
1、常に担い手に寄り添いJAグループの総合力を発揮して期待に応えます。
1、地域と農業の魅力を全国に発信し、元気な地域社会づくりに貢献します。
1、TACの力を結集し、環境変化に立ち向かい、農業の未来に挑戦します。

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