ザルビオ フィールドマネジャー 4月1日にオンラインセミナー JA全農・BASF2021年3月23日
JA全農とBASFデジタルファーミング社はAI(人工知能)を活用した栽培管理支援システム「ザルビオフィールドマネージャー」の日本でのサービスを4月1日から開始する。対象は水稲と大豆。4月1日にはオンラインセミナーを開催、「どうすれば農業はもっと効率的になるのか?」をテーマに生産者インタビューにもとづくディスカッションを配信する。
ザルビオフィールドマネジャーは、高精度な予測を実現するために、水稲などの生育に関する国内外のデータや学術論文を読み込ませたAIが搭載されており、実際のほ場ごとの気象データなどをもとに学習して予測し、必要な防除、施肥などの作業とその時期、さらに収穫時期などの見通しを示すシステム。海外では2017年にサービスが開始され、現在16カ国500万ha以上の農地で利用されている。アジア太平洋地域では初となる。
水稲では主要な約220品種、大豆は約120品種のデータが導入されている。
ほ場ごとに作付計画を登録すると、気象情報、衛星画像データなどをもとに生育を予測する機能を持つ。これによって生産者に将来の生育ステージの到達時期を知らせ、それに合わせた適切な水管理作業や追肥、収穫時期などを提示する。
また、病害予測機能も持つ。病害感染リスクのアラートを発信し、防除対象病害と適切な防除作業時期を提示するほか、衛星画像解析機能を使って植生変化を継時的にチェックすることができる。同時に雑草発生状況も把握できるため雑草マップの提示によって適切な防除ができる。
ほ場ごとに状況が示されるために、ほ場に合わせた可変的な施肥、農薬等の散布も可能で効率的な資材の利用でコスト削減につなげられることになる。
2020年11月公表の農林業センサスでは農業生産法人などの経営体が5年前にくらべて1000経営体増えており、10ha以上の大規模経営体の割合が50%を超えるなど生産構造の変化が加速度的に進んでいる。その一方で「分散した多くの小さなほ場を管理している人が増えている」(JA全農)のが現状で、ザルビオフィールドマネジャーはそんな生産者の悩みを解決するため「有望なツール」と位置づけている。BASFも「農業現場のソリューションプロバイダーとして貢献したい」としている。
ザルビオフィールドマネジャーはホームページで利用者アカウントを開設することパソコン、タブレット、スマートフォンで利用できる。また、JA全農が2018年からサービスを提供している営農管理支援システム「Z-GIS」とのデータ連携をしている。そのためZ-GISの利用者にはほ場登録作業が不要で、ザルビオフィールドマネジャーが提供する生育ステージ予測や推奨作業アラートなどを地図情報として色分けして一覧性をもって画面に示すことができる。
これによって管理担当者はZ-GISで俯瞰的にほ場を管理することができるし、一方、栽培・作業担当者は自分が管理するほ場の推奨作業情報をもとに適切な肥培管理が行えるようになる。
JA全農では当面、全国のTAC担当者が巡回訪問している7万5000の経営体を普及していく方針。また、ザルビオフィールドマネジャーはアカウントの連携のできるためJAの営農指導員と情報を共有して生産者と連携を図り、適切で効率的な営農指導も可能で組合員との結びつきをより強める面も持つ。
利用料金は無料プラン(ほ場登録、ほ場作業記録、ほ場天気など)と有料プラン(生育予測、病害予測、衛星画像解析など)がある。有料プランはクレジットカード支払いで年間1万2000円(請求書支払いは1万5000円)。
登録ほ場数に応じた料金設定はザルビオは100ほ場ごとにプラス5000円(2000ほ場以上は同一料金)、Z-GISは100ほ場ごとにプラス2400円(2000ほ場以上は同一料金)。ただし、より多くの生産者に利用してもらうため2021年7月末までは有料プランを無料で提供する。
JA全農ではこのシステムの利用により、適切な肥培管理と労働力の適切な活用で収量と品質の向上につなげることが狙いで、今後はドローンやGPSナビ付きトラクター、収量コンバインをはじめとする農業機械との連携を拡大していく方針。多くの生産者にスマート農業を実現するサービスの提供をめざす。
農林水産省は将来に向け農業の生産性向上と持続可能性をイノベーションで両立させ、肥料・農薬使用量の削減などをめざす「みどりの食料システム戦略」を検討している。同戦略が掲げる目標実現にスマート農業の実現が重要になる。
4月1日のオンラインセミナーではBASFによるザルビオフィールドマネジャーの紹介、JA全農によるスマート農業の提案のほか、生産者インタビューとパネルディスカッションを配信する。生産者は宮城県の(株)たいらの千葉専務、山形県の(株)まいすたぁの斎藤代表(日本農業法人協会副会長)、石川県の(株)六星の名谷マネージャー、同(株)ぶった農産の佛田社長(石川県農業法人協会会長)が登場する。
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】タマネギえそ条斑病 県内で初めてタマネギほ場で確認 和歌山県2024年7月22日
-
【注意報】早期水稲に斑点米カメムシ類 栽培地域で多発のおそれ 熊本県2024年7月22日
-
【注意報】周辺草地と本田で斑点米カメムシ類が多発 適期防除を 宮城県2024年7月22日
-
国際協同組合デー「私たちは幸せに生きることはできない」 パレスチナの協同組合連合会2024年7月22日
-
外国法人が議決権持つ法人の農地取得 累計0.6ha 2023年 農水省調査2024年7月22日
-
外国資本による森林取得 累計で2868ha 林野庁2024年7月22日
-
「みどり戦略」実践へ 農業を次代につなぐ 農水省・久保牧衣子氏【全中教育部・オンラインJAアカデミー】2024年7月22日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」鹿児島県「たわわタウン谷山」で買い物とランチを満喫 JAタウン2024年7月22日
-
JR大阪駅で「みのりみのるマルシェ 岡山の実り」27日に開催 JA全農2024年7月22日
-
植物病害を発生拡大予測する数理モデル開発 トマトかいよう病の防除対策開発へ 農研機構2024年7月22日
-
農薬出荷数量は6.1%減、農薬出荷金額は3.8%減 2024年農薬年度5月末出荷実績 クロップライフジャパン2024年7月22日
-
「第3回全農 全日本中学生カーリング選手権大会」新潟で26日から開催2024年7月22日
-
令和6年度「TOYOHASHI AGRIMEETUP」始動 第1回交流会の参加者募集 愛知県豊橋市2024年7月22日
-
福島県南相馬市「みらい農業学校」第2期入学生の募集を開始 マイファーム2024年7月22日
-
独自技術で水田の中干しを測定 北海道岩見沢市で実証実験 ソラテクノロジー2024年7月22日
-
晴れの国おかやま「フルーツ食堂」桃とぶどうの定食を期間限定で提供2024年7月22日
-
完全人工光型植物工場の市場規模 前年度比99.0%見込 植物工場市場に関する調査 矢野経済研究所2024年7月22日
-
霧のいけうち「施設園芸・植物工場展」に出展 微細ミストシステムなど紹介2024年7月22日
-
農作業事故をVRで体験 宇都宮大学で農作業安全授業を開催 JA共済連2024年7月22日
-
農業専門求人サイト「あぐりナビ」10周年記念キャンペーン実施 アグリメディア2024年7月22日