組合員23万人増える 事業収益は35・3兆円――JCA「協同組合統計表」2021年3月30日
日本協同組合連携機構(JCA)は3月26日、2018(平成30)事業年度版協同組合統計表を発表した。前年度に比べ、協同組合員数は23万人増え、延べ1億5000万人超となり、一世帯が1.8の協同組合に加入していることになる。また協同組合が供給している食料品・生活用品は約4兆円、農林水産業生産資材は約2兆円となっている。協同組合の事業収益は35兆3000億円となり、前年度より4.3%伸びた。
生協組合員6600万人超
協同組合の総数は4万1610組織あり、内訳は中小企業組合が3万4971で、単位組合の86.9%を占める。水産業協同組合が1779組合、農協(総合農協と専門農協)1206組合、生協820組合、森林組合617、動労者協同組合442組合と続く。
組合員の内訳は、生協が6652万人で全体の6割を占める。これに労働金庫が1138万人、農協が1063万人(うち総合農協が1049万人)、信用金庫920万人、信用組合396万人、森林組合150万人と続く。最も組合の増加が大きいのは医療・福祉生協(前年度比13.2%増)だった。
6割強を占める生協について、主たる事業別にみると、購買生協(559組合)が2674万人、共済生協(132組合)3679万人、医療・福祉生協(127組合)298万人となっている。一方、協同組合の常勤役職員は56万9455人で、単位組合が46万3369人、連合会が10万6086人となっている。うち常勤職員は55万8981人で、同年度の国内全体の常用雇用者(3899万人)の1.5%を占める。
単位組合別常勤役職員は、農協が最多の約20万人で、全体の43.9%。信用金庫が約11万人、生協約9万人、信用組合1万9416人、漁協1万1688人、労働者協同組合1万1608人と続く。生協ではこのほか、約11万人の非常勤職員がいる。前年度に比べ、役職員全体の数は減っているが、労働者協同組合、森林組合、労働金庫はそれぞれ3.3%、1.3%、0.2%増えた。
購買で生協が健闘
一方、協同組合の購買事業は、生活購買供給高が4兆308億円で、うち生協が3兆533億円。農協の供給高は6574億円で、これ以外にAコープの3055億円がある。漁協は146億円。商品別では、食品が2兆6872億円で過半を占める。これは国内の飲食料品小売業の販売額(45兆2140億円)の5.9%のシェアになる。前年度に比べ、地域生協だけが微増となっている。
生産資材は農協9割
生産資材の購買事業では、農協、漁協、森林組合の3組合の供給高が2兆1425億円。農協が1兆9742億円で92.1%を占めており、生産者の組織が強みを発揮している。農協の取扱高の内訳は、飼料が最も多く4273億円(19.9%)で、燃料3186億円、肥料2774億円、農業機械2382億円、農薬2225億円が続く。前年度に比べ、全体の供給高は漁協で5.6%、総合農協で0.9%伸びた。
販売事業は、協同組合全体の農林水産物販売取扱高5兆9839億円のうち、総合農協が4兆4218億円で全体の73.9%を占める。専門農協を加えると81.0%。また、同年度の農林漁業産出額11兆797億円に対する比率は54.0%と、半分以上を占める。なお、農業、林業、漁業のそれぞれの産出額に占める販売取扱高の割合は、農協が53.5%、森林組合が21.0%、漁協が67.3%となる。前年度に比べ、全体の販売取扱高は減っているが、森林組合は4.4%伸びた。
全国預貯金の2割強
協同組合に預けられている預貯金は303兆1368億円で、国内の銀行等の預貯金額(1018兆円)の22.9%を占める。信用金庫系が最も多く、144兆4521億円で、農協・漁協系の116兆5167億円、労働金庫系21兆3387億円、信用組合系20兆8294億円と続く。貸出金は159兆1737億円で、トップは信用金庫系の79兆225億円。これに前年度比で16.9%伸びた農協・漁協系の48兆5507億円が続く。
共済掛金収入は7兆6467億円で、国内の生命保険・損害保険全体の収入(43兆1680億円)の15.0を占める。また支払共済金は5兆6731億円で、国内の保険事業全体に占める割合は19.1%。内訳は農協系が4兆5433億円で、前年度に比べ38.4%増えた。相次ぐ大きな自然災害を反映しているものとみられる。
こうした結果から、2018事業年度の協同組合の事業収益は35兆3188億円、付加価値額(企業の経済活動によって新たに生み出された価値の総額)は5兆3666億円となり、国内全産業の1.9%を占める。前年度に比べ、全体の事業収益は4.3%の増。農協・森林組合・漁協系で5.8%伸びた。付加価値は組合全体でマイナス3.5%となり、生協のみ0.4%の横ばいだった。
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