全農3カ年計画「JA支援」を加速 事業の枠超え相談機能――JA全農次期3か年計画2021年4月20日
営農・経済事業を中心とするJAの経営改善を支援しているJA全農は4月19日、2022(令和4)年度からの次期中期3か年計画におけるJA支援の取り組みの方向を示した。全農が提案する経済事業収支改善のためのメニューを、JAと一体となって実行し、農家・組合員サービスの向上を目指す。同日、県本部本部長や経済連の担当者などを集めたJA支援全国TV会議で確認した。
JA支援について説明した全農の全国会議(東京・大手町のJAビル)
強化メニュー全JAへ
全農は2019(令和元)年度からの今次3カ年計画でJAの経営改善支援に取り組んできた。特に信用・共済事業の収益悪化が避けられないなかで、JAの経営基盤を維持するには、経済事業の改善が喫緊の課題になっている。とりわけ受発注・集出荷業務や施設運用の効率化、人材・労働力確保など、解決すべき課題が多い。
JA支援策は「経済事業強化メニュー」として提案。JAの個別課題と、JA域を超えた広域・県域への対応からなり、2020年度は、32都道府県本部381JAのうち、328JAで実施した。
メニュー内容は、青果物の広域集出荷施設や肥料農薬戸配送施設の設置、JA各施設の共同利用やJA間の連携による農機整備事業の改善、米麦の老朽化施設の統廃合など、それぞれのJAの実情に応じた経営改善のための提案を行ってきた。今次3か年計画中には、全JAでの取り組みをめざす。
提案は中央会と農林中金が進めるJA収支分析などの結果と、全農における県域マスタープラン・事業戦略などを共有し、連携して取り組んできた。全農はこれを「見える化プログラム」として進めてきた。今次3カ年計画で、ひきつづき中央会・信連・農林中金と一体となって取り組む。
22年度からの次期中期3カ年計画では、今次3カ年計画のJA支援を一層強化し、事業運営に関する方針・戦略から事業目標、進捗管理など、JAと全農の間のベクトルのあった姿をめざす。また、この観点で、県本部内に、これまでのような縦割りの事業ごとの相談に加えて、JA全体を俯瞰(ふかん)した相談機能を県本部内に設置する。これに併せ21年度には、全農本所内にその体制をつくる方針だ。
JA支援の具体的メニューでは、現在のJA取り扱いシェア低下の一因となっている大規模法人への対応、コスト高を招いている業務作業のシステム化による改善などを挙げている。業務のシステム化では、業務のアプリ化に加え、総合的なプラットフォームの検討も進める。
ロールモデル確立へ
こうした取り組みを加速化するため、2021年度は特に、全国でJA支援のノウハウを持った人材の育成に力を入れる。また、これまでの県域JAでの試行的な取り組みを踏まえたロールモデルを確立し、それを踏まえた研修を実施する。
JA支援全国会議では、全農の山﨑周二理事長が「JA支援は、何のためにやるのかを常に考え、その先に組合員がいることを忘れないように。JAと目線を合わせ、取り組み課題を共有し、スピード感をもって臨んでほしい」と話した。なお、全農群馬県本部、同福岡県本部、宮崎経済連が、それぞれ、JAの支援の取り組みについて報告した。
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