JAの受発注業務 WEBシステムで効率化を支援-JA全農2021年5月14日
JA全農はJAの生産資材の受発注にWEB機能を導入することで効率化を図る取り組みを進めており、今年度からJAへの普及に積極的に取り組む。
JAグループの受発注業務は電話や手書きFAXが中心で、多くの要員と手間がかかっている。誤発注や事務ミスなどもあるほか、支店からの注文を本店が把握できていないなど内部統制にも課題が出ている。
こうした課題を解決するためにJA全農はJA受発注業務と在庫管理を行うための受発注センターシステムを開発し、4月現在で8県21JA(山形、秋田、群馬、兵庫、島根、愛媛、福岡、長崎)にモデル的に導入している。導入されたシステムは「JA支店(営農経済センター)→JA本店→全農」間の受発注を行っている。
このシステムはパソコンとインターネット環境があれば手軽に導入することができるため、大規模なシステム投資は不要なのが特徴だ。
兵庫県のJAたじまでは今年1月から購買事務の効率化による要員削減やミス防止を狙いとして導入した。発注書をWEB上で作成し、営農生活センターから本店へオンラインで送り、全農への発注もオンラインで送る。
FAX発注からWEBへの切り替えでペーパーレス化が進むとともに、発注履歴がシステム上に残るため業務の「見える化にもつながっているという。今後は、データを活用して過剰在庫を抑制するなどのメリットも見込んでいる。
福岡県のJAみなみ筑後は2020(令和2)年10月に導入した。4か所のグリーンセンターからの発注が本店へ集約されたことで内部統制の強化につながったほか、組合員からの注文をパソコンに入力する手間がなくなり、事務処理が大幅に減少し、担当者の業務全体の2割程度の削減につながっているという。
また、システムを導入しているJAしまねのある地区本部では受発注担当者の業務が定時で終わるようになるなど、働き方改革にも成果を挙げている。
JA全農では受発注システムの説明資料や動画なども作成している。JAと導入に合意できれば概ね3か月~6か月で導入できるという。
また、このシステムと県域で稼働しているJA購買システムとの連動を要望する声もあることから、県中央会、県電算センターとの協力し、JAにおける受発注・在庫管理業務の改善に向け、中央会と協働して推進していく方針だ。
また、JA現場から要望が強い「組合員からの受注機能」についても開発を進めており、組合員がJAにWEBで発注したり、JA職員が生産者に出向き、モバイルで発注するなどシステムも今年度下期にも稼働させる予定だ。生産資材店舗についても単品ごとに商品を管理し、JA本店で各店舗の販売・在庫情報を一括管理できる「新・資材店舗POSシステム」の今年度下期に稼働させる予定だ。
JA全農の調査によると、あるJAの営農経済センター職員の業務割合は配送と資材店舗業務で3割を占める一方、営農指導業務には5%しか割かれていない。
JAの購買事業職員は1990年代初めには10万人近くいたが、2018年では3.5万人となっている。人手不足が深刻化するなか、一方では組合員の所得向上と農業生産の拡大に営農指導事業への組合員の期待が高い。
JAの受発注業務の効率化は組合員の期待に応えるJA職員の役割発揮にもつながるといえる。
重要な記事
最新の記事
-
【年頭あいさつ 2025】国際協同組合年機に反転 村上光雄 一般社団法人 農協協会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】基本法理念 実現の時 江藤拓 農林水産大臣2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】基本法の具体化に全力 山野徹 全国農業協同組合中央会 代表理事会長2025年1月2日
-
食と農を未来へつなぐ【年頭あいさつ 2025】折原敬一 全国農業協同組合連合会 経営管理委員会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】利用者本位の活動基調に 青江伯夫 全国共済農業協同組合連合会 経営管理委員会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】つながり強化戦略推進 奥和登 農林中央金庫 代表理事理事長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】医療、福祉の充実に一丸 長谷川浩敏 全国厚生農業協同組合連合会 代表理事会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】『家の光』創刊100周年 JA教育文化活動支援に尽くす 栗原隆政 (一社)家の光協会 代表理事会長2025年1月2日
-
【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(2)2025年1月1日
-
【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(3)2025年1月1日
-
【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(4)2025年1月1日
-
2025年度 農林水産関係予算 2兆2706億円 前年より20億円増2024年12月27日
-
【特殊報】モモほ場で「モモ果実赤点病」県内で初めて確認 愛知県2024年12月27日
-
【特殊報】ブドウにシタベニハゴロモ 県内の果樹園地で初めて確認 富山県2024年12月27日
-
【注意報】かぼちゃにアブラムシ類 八重山地域で多発 沖縄県2024年12月27日
-
米輸入めぐるウルグアイ・ラウンド(UR)交渉 過度な秘密主義に閣僚も「恥」 1993年外交文書公開2024年12月27日
-
1月の野菜生育状況 さといも以外の価格 平年を上回る見込み 農水省2024年12月27日
-
(416)「温故知新」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月27日
-
東京23区の12月の消費者物価 生鮮食品の前年同月比は2桁増2024年12月27日
-
JA全農あきたがスマート農業研修会 農機・担い手合同は初2024年12月27日