JA生産農業所得 2940億円増 対話徹底で目標設定へ-JA自己改革2021年5月17日
JA全中は5月13日の規制改革推進会議農林GW会合でJA自己改革の取り組みの成果を明らかにした。販売農家1戸あたりのJA生産農業所得は約47万円増えて148.6万円となった。
JA自己改革の最重点分野とした「担い手ニーズに応じた個別対応」への取り組みは78.8%、「マーケットインに基づく生産・販売方式への転換」は67.3%、「生産資材価格の引き下げと低コスト生産技術の普及」は93.5%など、JA全中のまとめではいずれも令和2年は過去最高の取り組みとなった。
JA生産農業所得(JA販売品取扱高×所得率)は平成26年の1兆4354億円が30年には1兆7295億円と約2940億円増加した。販売農家1戸あたりのJA生産農業所得は同101.7万円が148.6万円へ約47万円増加した。
個別JAの取り組み事例も示した。
愛媛県のJAおちいまばりはサトイモの種子助成と機械化支援事業による農作業の効率化で作付け面積を拡大に取り組んでいる。平成30年度の16.4haが令和元年度に21.1haへ増え、販売量は327tから609tへと282t増加した。JAの種子助成額は131万円、機械化支援事業は579万円。販売量の増加による所得増大効果は2947万円となった。
徳島県のJAあわ市はWebシステムを活用しブロッコリーを卸売市場と契約取引することで販売単価を向上に結びつけた。通常の市場出荷による平均単価が304円/kgだが、339円同と増加した。契約取引量は590tで所得増大効果は2065万円となった。
コスト削減による取り組みもある。福岡県のJAみなみ筑後はナスで天敵利用技術を導入し殺虫剤使用量を削減した。導入前の散布回数は年30回だったが、18回への削減。農薬費が10a7万円削減されたことによって、同技術導入面積37.3haの所得増大効果は1492万円となった。
宮城県のJA名取岩沼は水稲の除草剤大型規格品の普及に取り組んだ。通常規格では10a3227円が2470円と削減されたことから、散布面積447haでの所得増大効果は338万円となった。
作付けの拡大、多収品種の転換推進など販売量を増やす取り組み、契約販売などJAの買取販売や、消費者ニーズに合わせたパッキングなどで販売価格を上げる取り組みなど所得増大につなげるほか、コストの低減でも所得増大効果があることがJAの取り組み事例で示された。コスト低減では一括仕入れに向けた予約購買の推進や、肥料など銘柄集約を進めた資材の普及など共同購入などJAへの結集が所得増大につながるといえる。
同時に中央会、連合会によるJA支援も重要で全中、全農、農林中金などによるJAの経営分析などを通じた経営計画の策定、実践支援の取り組みも進める。
「不断の自己改革」の実践は(1)担い手との対話によるニーズの把握、(2)担い手目線で生産増大やコスト低減など、必要な取り組みを着実に実践、(3)担い手の評価を把握してさらに改革を進めるというものだ。各JAで徹底した対話に基づき、取り組み目標を定めて所得増大に取り組むことが求められている。
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