産地維持へ農作業安全を ポリシーブックで強調-JA全青協2021年5月28日
JA全青協は自らの農業経営を守るだけでなく、産地を維持するため農作業事故未然防止など、安全確保に向けた啓発活動に取り組む。2021年のポリシーブックに盛り込んだ。
これまでポリシーブックでは災害や鳥獣害など、農業のリスクについてまとめて整理してはいなかった。しかし、「気候変動によって災害が常襲化している。しっかりとリスクに備えなければならない。農作業事故で大事な盟友の命が失われる例もある」(柿嶌洋一会長)として2021年版では初めて「農業を取り巻くリスク」の項目を設け重点実施事項とした。
盛り込んだ事項は「防災・減災」、「災害からの復興」、「鳥獣害被害への対策」、「農作業安全確保」の4つ。
防災・減災では自らの取り組みとして、過去に学びハウスなどの施設強化対策で災害に強い農業を実践することや、収入保険、農業共済への加入を提起している。
災害からの復興では被災地の状況を現地青年部がSNSで発信し全国で共有、「絆プロジェクト」など支援を行うことや、風評被害についても被災地のみの課題とせず、「全国の盟友が安全性を消費者に伝えられるよう知識を養う」ことを掲げている。
農作業安全確保については毎年300件前後の死亡事故が発生し他産業に比べて高いことから「安全対策を自分ごととして捉え、安全と人命を守るための取り組みが重要である」と強調するとともに、自らの農業経営だけでなく産地を維持するためにも地域農業の担い手として健康管理意識を高める必要があるとした。
事故を未然に防ぐための啓発活動を青年組織が積極的に行うことも提起している。
ポリシーブック担当の高原弘雅副会長は「われわれは中心経営体になり得る担い手であり、責任が重くなると思う。地域で数が減っていくため健康面も含めて意識を高める必要がある」と語る。
5月14日に農水省の農作業安全検討会がとりまとめた中間報告では農業者の安全意識の向上を提起し、事故が経営の及ぼす影響を事例を通じて実感できるような研修や、GAPなどの具体的な取り組みを通じた機運づくりが不可欠としている。
検討会は「国民への安定的な食料供給を担う農業の現場で労働安全が未だ十分に確保されていない状況に対し、農林水産省をはじめとする行政、農業者団体、農業機械メーカー等の農業関係者は
強い危機感を抱くべきである」としている。
高原副会長は「1人が亡くなると地域に大きな穴が空くことにもなる。全青協として重点実施事項とし、注視し政策提言を行っていこうと考えている」と話す。
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