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JAバンクが担い手コンサル 農業経営の安定と成長めざす-農林中央金庫2021年6月14日

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JAバンクはJAの営農経済事業と連携して、地域の担い手の経営分析などを通じて農業所得向上に向けた解決策を提示していく「担い手コンサルティング」に7月から本格的に実施する。6月11日には今年初めから試行的に実施したパイロット県からの報告をもとに実施に向けた体制づくりを確認する全国説明会を農林中央金庫がオンラインで開催した。農林中金の支店や信連の実務担当者約260人が参加した。

あいさつする川田常務(中央)あいさつする川田常務(中央)

説明会で川田淳次常務執行役員は「これまでの融資先に対するコンサル業務は"点"だったが、今後は名称も農業法人コンサルから『担い手コンサルティング』に変え、JAを含めて"面的"に展開をしていく」と述べ、金融仲介機能について、これまでの貸出のイメージではなく担い手コンサルと農業融資をセットとした考え方にしていくと話した。

具体的にはJAバンク担当者が担い手の財務分析やヒアリングを通じて経営課題を可視化、さらに融資だけでなくJAの営農経済事業も含めて解決策を展開していくという「総合事業を営んでいるJAバンクならでは特色あるコンサル」をめざす。川田常務は「うねりとしてJAバンク一丸で進めていきたい」と話した。

担い手コンサルティングはJAが対象となる担い手を選定し、JAの金融職員やTACなどの営農経済職員でコンサル実践チームを作り、それを信連・農林中金の支援チームが支援する。また、信連が実践チームを作り、担い手に直接コンサルを実施する体制もつくる。

担い手の事業実態の把握や基礎的財務分析、さらに経営者ヒアリングを実施し課題を洗い出して可視化する。そのうえで特定した課題に対して信用事業だけでなく、営農指導、生産資材購買、農産物販売や生活購買事業まで含めて解決策を提供するという取り組みだ。事前の調整から事業分析、ソリューションの提案まで4カ月をかける。

説明会ではパイロット事業として担い手コンサルティングを実施したJA遠州中央と静岡県信連の担当者が取り組みを報告した。

対象は露地と施設で野菜を生産している法人。コンサルでは作物別収支やほ場別の単収分析を行った。そのなかで損益分岐点となる単収も明らかにした。

インパクトある品目別・圃場別の収支分析

経営者からのヒアリングでは品目ごとの収支について「たぶん黒字だと思う」といった感覚でしか話題にできなかったが、数値化することで「経営者にインパクトを与えた」と信連の担当者。損益分岐点以下の単収の低いほ場に対しては今後、土地利用をどう考えるか具体策を考えることにつなげた。

コンサルの結果、提案したソリューションは、地力を高める資材の導入、農地交換を通じた集約、価格の安定している作物の導入など。今後は4半期に1度話し合って取り組みを進めるという。

JAの担当者は「営農指導は得意だが経営全体を見るのは不得手。組合員からも経営まで見てくれと言われており、今回の取り組みでどうすればいいか把握できた。総合事業の機能が発揮できる」と話した。

また、こうした経営を含めたコンサルティングをJAの通常業務に位置づけることや、そのために職員のスキルアップの必要性も指摘した。

静岡県信連の担当者は「10年、15年先を見据えた提案を担い手に行うことはJAにとっても大切なことでコンサル自体がJAの成長につながる。永続的に支援していくJAの体制が重要になる」としてJAと連携したコンサルを積極的に進める意向だ。

説明会ではJA全農とJA全中から担い手へのコンサルやJA支援の取り組みも報告され、JAバンクの取り組みを現場で連携させていくことの重要性も強調された。

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