NTT東日本と遠隔栽培指導の実証開始 JA全農2021年6月15日
JA全農とNTT東日本は6月11日、東京・調布市のNTT中央研修センタ内に、「遠隔栽培指導センタ(通称:コックピット)」を開設すると発表した。今秋から施設園芸生産者に向けたリアルタイム遠隔栽培指導の実証を開始する。
コックピットのイメージ
JA全農高度施設園芸推進室は、収量の向上やそれに伴う経営の改善を目的に、平成28(2016)年から施設園芸生産者向けに現地訪問による栽培指導を行っており、それを補完する手段として、環境や生育調査データを電子メールやSNS等で受け取り、遠隔での助言や支援を実施している。
その取り組みのなかで、実際の作物状態やほ場の状況などを考慮したリアルタイムな情報共有ができないという課題を抱えていた。また、栽培技術者の不足で、すべての要望に対応できないという状況が続き、さらにコロナ禍で訪問そのものが制限されるなど、昨今の社会情勢に対応した、遠隔での栽培指導を早急に拡充する必要があると考えていた。
一方、NTT東日本では、地域社会の一員として一次産業の課題解決をめざす取り組みを進めるなか、「担い手不足への対処」「新規就農者支援」「データを活用した儲かる農業の実現」への期待の高まりを受け、これらに応えする手段として、ICTや自社アセットを活用し、限られた栽培技術者の活躍の場を広げる遠隔栽培指導の取り組みについてこれまで検討を進めてきた。
そこで両社は、スマートフォンやタブレット端末といったスマートデバイスを活用し、施設園芸生産者とほ場の映像、音声、環境や生育調査データを共有する遠隔栽培指導センタ(以下、コックピット)を NTT中央研修センタ内に共有で整備し、実証を開始することに合意した。コックピットを活用することで生産現場とリアルタイムに情報を共有し、実訪問に近い精度を実現させる。また、コロナ禍でも安心、安全な遠隔栽培指導を可能にし、より多くの生産者の要望に応えることを目指していく。
JA全農の耕種総合対策部高度施設園芸推進室の担当者によると、秋以降の実証に関しては、トマト(栃木県)、ナス(高知県)、キュウリ(佐賀県)を栽培している高度施設園芸の実証農場「ゆめファーム全農」などで予定しているという。
この実証は、全農とNTT東日本に加え、農業ICT分野での専門性を持つパートナー企業である(株)NTTアグリテクノロジーと連携して進めていく。また、全農グリーンリソース(株)の施設園芸栽培コンサルサービスとしての展開を視野に実用化を検討している。
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