米で生活困窮者支援を-JAグループ2021年7月15日
新型コロナウイルス感染症の拡大は外食需要に大きな影響を与え消費減から5月末の民間在庫量は198万tと前年を20万t上回る水準となり米価はじわじわ下落している。一方、コロナ禍で生活が苦しくなった人も増えており、米を生活困窮者の支援に充てるべきだの意見も多い。JAグループは国産米の需要拡大に向けた対策に生活困窮者支援の視点も必要だと提起している。
米国では生活困窮世帯の食料費を支援する「補助的栄養支援プログラム」(SNAP)を実施している。かつてのフードスタンプ制度で年間所得120万円の4人世帯に対して年間約42万円が支払われる。
支援は食品と引き換えできるプリペイドカードを支給するかたちで実施されており、1世帯で月3万円が支給される。
日本では年間所得127万円未満の世帯の割合は15.4%で米国に次いで先進国最悪水準となっている。
農水省は子ども食堂への備蓄米支援は「食育の一環」だとして無償提供をしているが、困窮者への食料支援は福祉政策であり厚労省の仕事だという姿勢だ。
ただ、生活保護費の食品とのみ交換できる金券などにして米の購入支援に充てる考え方もできないかとJAグループは提起している。
JA全中の試算では経済的な理由で食事が2回しか摂れない被保護者は今年1月約61万人で、その人たちが1日1回米食を増やすと年1.5万t増の消費につながる。
さらに子ども食堂の施設数は4960カ所で利用者は約219万人と推計される。ここに米飯提供の支援を行えば、週1回1杯の提供で年7000tの消費増につながると試算している。
現在、学校給食での米飯給食回数は週3.5回。これを週4回に増加させると年約1.1万tの消費につながると試算している。
輸出拡大や、健康志向に応える商品開発、簡便志向に応えるパックご飯の販売促進なども米需要拡大にとって必要だが、新たな視点として、コロナ禍で浮き彫りになった国内の貧困を食で支援する仕組みづくりも求められる。米国の低所得者への補助金栄養支援プログラム(SNAP)は農務省予算の64%を占めている。
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