JA全農 2020年度実績4兆3300億円 前年比97%2021年7月26日
JA全農は7月21日、2020(令和2)年度の事業取扱高と決算を公表した。取扱高は計画4兆8400億円に対して実績4兆3326億円で計画比90%、前年比97%となった。販売価格の低迷で取扱い高が減少した部門がある一方、購買部門では取扱数量が維持された品目もありJA全農では「コロナ禍という情勢のなか、組合員、会員の結集の証」としている。
2020年度事業取扱い実績
計画比では米穀農産事業では需給緩和で販売数量・単価が落ち込み88%、園芸事業では天候不順で出荷数量の減少で88%だったほか、生活関連事業は原油価格の下落などで80%と全体の取扱高は90%となった。
一方、前年比では園芸事業では青果の単価回復などで102%、営農・生産資材事業では農機の販売数量の増加で100%、畜産事業では飼料の販売数量の増加などで99%となり、全体では97%となった。JA全農では「コロナ禍という情勢のなか、組合員、会員の結集の証。評価をいただけるのではないか」(野口栄代表理事専務)とみる。
最重点施策のなかで、自己改革として取り組んできた肥料の銘柄集約と集中購買、大型機に続く中型農機の共同購入や、農薬の担い手直送規格などの取り組みは「実績を挙げて加速化した」とする。
一方、全国各地から原料となる農畜産物を調達し、他企業とのアライアンスで消費者に供給するバリューチェーンづくり、国産生産基盤の強化のための輸出拡大など、中期計画で掲げた新たな課題への取り組みは「芽出しはできた」ものの、これから本格化に期待がかかる。また、コロナ禍でニーズが急速に高まった事業への対応もある。JAタウンを軸とした販売拡大は66.5億円目標に対して74.3億円の実績を挙げた。さらに元々人手不足という課題があるなか、非接触のニーズが高まり、加工・包装・冷蔵機能を持った直販施設の設置も進んでいる。エネルギー分野では組合員家庭への電力供給の拡大と同時に、JAの直売所に全農が太陽光発電設備を設置して再エネの地域での利用を広げるモデル実証事業などにも着手した。
2020年度経営収支
2020年度の経営収支は事業総利益実績871億7900万円となった。一方、事業管理費は、コロナ禍にともなう催事や会議などの縮小で業務費などが減少し、実績878億6800万円で計画よりも縮小した。
その結果、事業利益は計画▲8億円に対して実績▲6億8900万円と計画を達成した。経常利益は計画65億円に対して実績66億9500万円と概ね計画に並みとなった。
事業利益についてはコスト削減で一定の確保ができているものの、事業総利益は長期低落傾向に歯止めがかかっていない。野口栄専務は「収益力の回復が必要だ」と話す。
全農は2022年度からの次期3カ年計画の議論を始めた。今回は2050年を見据えて2030年のあるべき姿を想定し、どのような課題が出てくるのかを協議しているという。今後、10年の農業生産現場の変化、消費、流通の動向をふまえて計画を策定する。秋にも骨子がまとまるという。
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