地域の農業をサポート 荒廃農地復旧、次代へ JA出資の農業法人2021年9月13日
JA京都にのくには管内の福知山市に『飛び地』がある。それが中六人部(なかむとべ)地区で、山間地が多く、水田の荒廃も進んでいる。JA京都にのくには、ここにJA初のJA出資型農業生産法人「(株)アグリサポート夢」を設立した。稲作の経営受託、担い手の育成、地域に合った作目の導入など、地域農業の支援のモデル法人として育てる考えだ。
ドローンを導入し、スマート農業のモデル経営へ
アグリサポート夢は2017(平成29)年に発足。ほぼ全額JA出資の子会社で、JA管内中六人部地区の稲作受託4.6haからスタートした。合併前の旧中六人部農協のエリアで、比較的組合員のまとまりがよく、当時のライスセンターや農機具センターなどの施設が残っていたことなどからモデル地区に選んだ。
同地区の組合員は200人ほどで水田面積は約140ha。谷間にある水田は用排水の施設もなく、農道も整備されていなかった。ほ場整備は昔の区画(8畝=0.8a)で、筆数は121あり、作業効率も悪い。現在の法人の経営規模は13haほどで、水稲、小豆、万願寺甘とうなどを栽培している。
労働力はJAからの派遣2人にパート1人、それに5、6人の季節パート。機械装備はほぼそろっており、水稲はもとより、地域に合った作目の栽培や雪害ハウス、台風の被害に遭ったハウスの復旧作業など、地域農業をけん引している。
2020(令和2)年度は、水稲の育苗管理を始め、中六人部の農地約13haを預かり、水稲や万願寺甘とうなどを栽培した。また、農業用ドローンを2機導入し、水稲の仕上げ防除を行うなどスマート農業にも取り組んでいる。
同じ中六人部地区で約12haを経営する井上淳一さん(51)は。中六人部地域農業活性化協議会の会長であり、農地利用最適化推進委員も務める。同地区の出身だが、就農したのは7年前。地区の農業の未来をアグリサポートに賭けるが、年々荒廃する農地。「アグリサポートの力を借りて農地を維持しないと、手遅れになる」と心配する。
そのためには水田の圃場整備の必要性を強調する。JA京都にのくにの常務で、同法人の佐々木真社長は「担い手を確保するには、まず農地の維持が必要で、そのためにはほ場整備が欠かせない」という。いま京都府の事業で100ha規模のほ場整備事業の話が出ているが、当事者である農家の農家の反応がいま一つというのが実情だ。
井上さんは「手が足らないときは作業を支援してもらうなど助けられており、アグリサポート夢の存在は大きい。まだ具体的な話にはなっていないが、地区で農業をやってみよういう人の話もぼつぼつある。共存共栄で地域の農業を守っていきたい」と、アグリサポート夢に期待する。
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