組合員の拡大で地域振興へ-第29回JA全国大会議案2021年10月19日
JA全中は10月29日の第29回JA全国大会で採択する大会議案を7日の理事会で決めた。次世代総点検運動による次世代の担い手の確保、組合員の拡大と活動への参加促進によって組織基盤を強化することで農業と地域の振興をめざす。
第29回大会では、JAが組合員と地域にとってなくてはならない存在であり続けるため、次の10年に向かって挑戦する「めざす姿」を改めて提起する。「持続可能な農業の実現」、「豊かで暮らしやすい地域共生社会の実現」、「協同組合としての役割発揮」がそれである。
そのために重点的に取り組む5の柱は(1)持続可能な食料・農業基盤の確立、(2)持続可能な地域・組織・事業基盤の確立であり、(1)の(2)の基盤を確立するため、(3)として「不断の自己改革の実践を支える経営基盤の強化」を位置づける。
また、いずれの取り組みにも求められる横断的な柱として(4)協同組合としての役割発揮、(5)「食」「農」「地域」「JA」にかかる国民理解の醸成に取り組む。
これを基本にJAは、組合員や地域住民とさらに関係を強化していくため、対象者ごとにその属性やニーズにあわせた組合員・利用者目線の実践方策を定めることにしている。正組合員のなかでも地域農業をリードする担い手経営体、地域農業を支える中核的担い手は、規模拡大に向けた労働力確保や安定した販売先などがニーズだとすれば、地域・農村を支える小規模農家など多様な担い手は直売所への出荷がニーズとなるなど違いがある。
准組合員でも地域農業を「食べて応援」するだけでなく、新規就農を希望するなど「作って応援」、「働いて応援」など地域農業の振興により貢献したいという希望を持つ准組合員もいる。
こうした組合員と地域住民のニーズに基づき事業、運動を展開することでJAとの関係強化を図るとともに、それを地域振興につなげるのが狙いだといえる。
とくに農業振興では次世代総点検運動による次世代の担い手確保に取り組む。組合員が地域の農業の将来に向けて半農半Xや、関係人口なども含めて地域の農業の担い手として位置付けるという取り組みの提唱で、「組合員自身が取り組む運動」(JA全中)としている。
こうした次世代点検運動にともない、JAは農業経営支援や労働力支援など行っていく。
また、持続可能な農業に向け、農水省が策定したみどりの食料システム戦略をふまえ環境調和型農業の推進と生産トータルコストの低減にも取り組む。環境調和型とは、グリーン化のことで、これまでの環境保全型農業や有機農業も含めて、幅広く環境負荷を軽減した農業を指す。
中長期的な情勢では組合員が2018年から減少に転じ1039万人が2030年には1007万人と30万人減少すると推計されている。そのため持続可能な組織・事業基盤の確立に向けて今回は「組合員の拡大」を掲げた。
新規就農者の加入や複数組合員化など正組合員の拡大と、地域住民の准組合員加入と准組合員のステップアップを図る。引き続き対話運動に力を入れ、JAの理念を共有し事業の複合利用と事業量の拡大、さらに組合員組織や利用者懇談会を通じた意思反映などを図り、JA運営への参画を図っていく。
そのほか経営基盤の確立に向けたデジタル対応なども進めるとともに「協同組合らしい人づくり」にも力を入れる。
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