国内地域資源の活用など施肥コスト抑制の力-JA全農2021年10月29日
JA全農は土壌診断に基づく適正施肥や銘柄の集約など施肥コスト抑制の取り組みに力を入れている。肥料原料の海外市況が高騰するなか、たい肥や鶏糞燃焼灰など市況に影響されにくい地域資源の活用も重要になっている。
世界の肥料消費量は、1位の中国からインド、米国、ブラジルの4カ国で6割を占め、日本の消費量は0.5%に過ぎない。そのため海外市況の影響は避けられない。
JA全農では自ら原料を輸入するなど安定供給に努めるとともに、施肥コスト抑制に向けたさまざまな取り組みにも力を入れている。
土壌診断に基づく適正施肥もそのひとつ。診断によって養分が過剰であれば低成分BB(バルク・ブレンド)肥料、逆に不足している成分があればバランスを考慮したBB肥料を使用する。産地や生産者のこだわりを満たすBB肥料も製造できる。粒状のまま成分を混ぜるため、小ロット生産も可能だ。
肥料成分の無駄を省くだけでなく、不足する養分もバランスよく加えるため収量を増やす取り組みでもある。令和2年度には1万4000tを供給した。
銘柄集約と予約積み上げによる価格引き下げにも取り組んできた。一般化成肥料で約550あった銘柄を24に集約した。令和2年度は11万tを供給、3年度は12万tを目標にしている。銘柄集約と予約の積み上げで価格を1割から3割引き下げることができている。
海外市況に影響されにくい地域資源の積極的な活用も進める。たい肥や鶏糞燃焼灰などを一般化成肥料と合わせて使用することで1割以上価格を抑制できるという。令和2年度は11万6000tを供給した。
省力施肥の技術の普及も進めている。
ペースト肥料の2段施肥は、地表部分とその下の深い部分の2か所に田植えと同時に施肥する。苗が成長して根が伸びると地表の深い部分の肥料を吸収して成長することができる。追肥が不要になる技術である。
流し込み施肥は田んぼの水口に肥料を設置して流し込む方法。田に入らず、雨天でも作業ができる。
ドローンによる施肥、水稲育苗箱全量施肥法も推進している。育苗箱に、は種する際に遅効性の肥料を入れて育苗する。田植えによって肥料が根に絡んで土中に入る。これによって肥料をまく作業を省くことができる。
また、肥料工場から農家への大型車満車直送も行っている。10t以上を直送し輸送費を削減する。令和2年度は5万6000tを供給した。
JA全農は「多くの生産者に活用してもらい施肥コストの抑制につながるよう、さまざまな提案をしていきたい」(肥料課)と話している。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(119) -改正食料・農業・農村基本法(5)-2024年11月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (36) 【防除学習帖】第275回2024年11月23日
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日