【TACパワーアップ大会2021】活動強化を誓う 全農会長賞にJA筑前あさくら2021年11月18日
JA全農は11月17、18日、横浜市で「TACパワーアップ大会2021」を開いた。本会場には全国のJAからTAC表彰およびJA特別表彰などの受賞者、受賞JAや全農の関係者など約220人が出席。本会場と全国のJAをオンラインで結び、事例発表では全農会長賞受賞のJA筑前あさくら(福岡県)をはじめとする各部門の受賞JA、TACがそれぞれの取り組みを報告した。
TACの活動強化を確認したパワーアップ大会2021
大会では主催のJA全農菅野幸雄経営管理委員会会長が、「TACはJAと生産者の懸け橋。来年3月30日は全農発足50周年になる。この先50年も、生産者にとってなくてはならない全農をめざす。TACはその原動力。最大限支援していきたい」と激励した。
全農会長賞受賞のJA筑前あさくらは、平成29年7月の九州北部豪雨災害で被災した柿栽培農家に対してアスパラガスの導入を提案した。JAが農地やハウス施設を建てて定植まで行うJAファーム事業を展開。入植者は2年間JAから農作業を委託され、3年目以降事業を引き継ぎ自立する仕組み。これまで6人が入植し、今年度、新たに3人が決まっている。
さらにJAのTACや営農指導員、JA全農ふくれんなどによる「未来に向かう土づくりプロジェクト」を立ち上げ、ダイズの増収・品質向上に挑戦し、降雨直後でも播(は)種が可能で、その後も湿害・乾燥害に強く出芽が安定する「大豆部分浅耕一工程播種」を導入し、収量の安定に努めた。またTACの訪問で要望のあったイチゴのパッケージセンターの増設を実現した。
JA松任市のTACは9人。同JAは、法人化に不安を感じている農家に対し、5カ年の収支シミュレーションの作成や資金借り入れ相談への対応、記帳代行サービス、税務相談などで支援している。農業法人との信頼関係が強まり、資金借入によるライスセンターを設置し、大麦の作付け拡大につなげた。これまで9経営体を支援し、2025(令和7)年までに20経営体に取り組みを拡大する。
また、無料職業紹介所、農業求人サイトの活用による労働力支援事業を展開している。さらに担い手の声に対応し、TACが中心になって5年後の地域農業の姿を想定し「地域農業振興計画」を策定。今後のJA、農業者の進むべき道を示した。
JAたじまは、2016(平成28)年に専務直轄の「担い手支援チーム」を設け、総合支店長も担い手担当と位置づけ、TACと一緒に毎月の訪問活動を行っている。同JAは、担い手の意見・要望をもとに(1)多収米作付の拡大(2)資材セットの提案(3)LINEによる営農情報の配信の三つを重点に指導している。
具体的には、作付けの9割を占めるコシヒカリは農繁期に作業が集中するため極早生、晩生の多収米に切り替えた。また、農薬・肥料のセット企画を提案し、生産コストの低減に努めた。LINEは、気象の変化などを伝える情報がリアルタイムで確実に届き、栽培管理に役立っている。登録者は88人で、今年6月から61回配信した。
JA阿蘇のTACは6人。新規就農希望者や農業研修者に対し、指導的農業者とマッチングし、技術面で指導する「農業師匠制度」の提案や融資渉外員との連携した青年等就農資金」などの活用を提案している。師匠の下で研修する農業師匠制度は、師匠の下で研修することで、新規参入者が地域で受け入れやすく、また就農1年目から安定した経営ができることから、毎年20人ほどの希望者で離農者はいないと言う。
担い手の不安解消のためJAの低金利農業資金への借り換えを勧めている。法人への支援では、肥料満載車直行企画を提案。複数法人で取り組むことで、1ロットの分かち合いができ、コスト削減になった。
大会は最後に大会宣言を採択。「JAグループの力を結集し、担い手に出向き・寄り添い・ともに歩みます」「変革する『今』を的確に捉え、担い手の営農を支援します」「地域に根ざすTACとして、担い手とともに新たな農業の形を創造します」―を拍手で確認した。
なお、2020(令和2)年度のTAC設置JAは206(全JAの35%)、TACは1459人、訪問した担い手は6万1807件、担い手への面談回数は約49万件となっている。表彰JAおよびTACは次の通り。
JA表彰を受けた4JA
【JA表彰】
▽筑前朝倉農協(全農会長賞・福岡県)
▽松任市農協(石川県)
▽たじま農協(兵庫県)
▽阿蘇農協(熊本県)
【TACトップランナーズJA表彰】
▽越智今治農協(愛媛県)
【TAC表彰】
▽玉山正彦(岩手県岩手中央農協)
▽髙橋望(岩手県花巻農協)
▽押田哲男(石川県金沢市農協)
▽原紀行(島根県農協)
▽前田晃弘(島根県農協)
▽森弘光(岡山県晴れの国岡山農協)
【JA特別表彰(出向く活動強化運動部門)】
▽こまち農協(秋田県)
【TAC特別表彰(努力・共感部門)】
▽野平巧(埼玉県埼玉ひびきの農協)
▽久保喜久雄(佐賀県農協)
表彰JAとTAC表彰の受賞者
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