需要ふまえ非主食用転換徹底を 22年産米取り組み方針 JA全中2022年1月14日
JA全中は1月13日の理事会で「水田農業の中長期的な取り組み方向と4年産米にかかる取り組み方針」を決めた。今回の方針では2022(令和4)年産米の取り組みだけでなく、中長期的な地域の水田農業振興計画の策定も視野に入れた取り組み方向も示した。
昨年(令和3年産)は過去最大の6.3万haの作付け転換に取り組んだが、民間在庫は依然として過剰で米価は2年産平均価格より60kgあたり1400円以上低い1万1950円(昨年11月まで)となっている。
JAグループは国の事業を活用して令和2年産米37万tの長期的販売に取り組むが、通常でも年間10万t程度、米消費が減少していることに加え、コロナ禍による外食需要などの動向もふまえる必要がある。
農水省は昨年11月の基本指針で主食用生産量を675万tとして、前年から▲21万tとした。作付け面積比では▲3.0%となるが、JA全中はさらに深堀する必要があるとしている。
JA全中の中家徹会長は13日の記者会見で過去最大の作付け転換に取り組んだが「それで(需給環境が)よくなったかといえばそうではない。需要に応じた生産が大事。いろいろな対策を活用して転作を進めていきたい」と話した。
具体的には、今後の水田農業に向けて地域で話し合いを徹底し、輸出米支援などの水田リノベーション事業や、麦・大豆対策などの交付金を最大限活用して、非主食用米への転換を図る。
また、新たに交付金の対象に加わった子実用とうもろこしの作付けについても積極的に検討する。
輸出についても、国が米やパックご飯、米粉を輸出重点品目に選定したことをふまえ、関係者と連携して、将来の生産拡大に向けて銘柄別の需要に応じた生産に取り組む。
また、コロナ禍の影響や作柄によっては米価下落が想定されることから、ナラシ対策(収入減少影響緩和対策)などセーフティネットへの加入を積極的に推進する。ナラシ対策について農水省はJAと出荷契約を締結した農家等を対象にする見直しを検討しており、JAから生産者への働きかけが重要になる。
同時にJAグループは、需要に応じた生産・集荷・販売の観点から、複数年契約を含む事前契約の拡大に取り組む。また、出荷契約は、販売見込み数量に応じた数量を締結する。出来秋に契約数量を上回って出荷された米や、期限後に出荷された米に対して、支払価格差の導入など、ルールの厳格化を検討することにしている。
消費拡大も課題で子ども食堂への米の提供や、業務用店での販売促進を展開する。
中長期的な取り組み方向は国内の米需要量が減少することをふまえて、水田で何を作付けするか、地域で検討することが重要になる。
飼料用米は、飼料穀物原料の高騰などから国産飼料への切り替え需要があることや、主食用米と機械・設備が共通しており、作付け転換には引き続き有効だが、将来を見据えて、より労働生産性の高い作物の導入や、徹底した低コスト化による輸出拡大、環境調和型農業の推進などで、活力ある産地づくりに向けた取り組みを検討すべきとしている。
たとえば、子実とうもろこしは、10a当たりの労働時間は1.2時間で主食用米の約20分の1との試算もある。1kg当たり生産コストは50円前後と主食用米の約5分の1だ。令和4年産からは交付金が10a当たり4万5000円が交付される。
そのほか、生産が増えているものの基本計画が掲げる生産努力目標には達していない麦・大豆の生産も求められる。
こうした作物を地域で誰がどう作付けしていくか、法定化される人・農地プランの策定と合わせて、水田収益力強化ビジョンとして策定することを推進していく。
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