組合員参加と危機感の共有を 次世代総点検運動 JAグループ2022年2月16日
第29回JA全国大会でJAグループの新たな運動として決議した「次世代総点検運動」は、JAの組合員と役職員が、ともに地域農業の現状を点検し、将来にわたり農地を維持し、確保すべき次世代の組合員数の目標を設定するなど、計画的な担い手の育成・確保をめざす運動だ。令和4年度からが重点実践期間でJA全中は1月の理事会で取り組み方針を決めた。
JAの最重点課題
農水省の試算では農業従事者は2030年には131万人となり2015年から約77万人(▲37%)減少することが見込まれている。
このうち49歳以下は28万人の見込みだが、国内農業を維持するには49歳以下を37万人確保することを基本計画で目標としている。
しかし、現実は厳しく2015年時点の調査では半数以上の経営体が後継者不在となっている。こうしたなか、JAグループにとって産地の農業生産とJAの事業量を維持、拡大させるため、次世代の地域農業の担い手を確保していくことが喫緊の課題となっている。
JA全中理事会で決めた取り組み方針では「事業承継支援や新規就農支援などによる新たな担い手の育成・確保は、JA事業の伸張への短期的な寄与度は小さいものの、中長期的なJAの組織・事業基盤を支える投資であり、成長戦略の最重点として取り組むべき課題である」と強調している。
集中実践期間を大会決議の実践期間の令和4年4月から令和7年3月とする。
JAは、運動実践体制の構築、組合員参加型の地域農業振興計画の策定、支援対象者の明確化と実施具体策の実践についてスケジュールを設定して取り組む。
第1段階は地域の農業者と役職員が一緒に、地域農業を次世代につなぐためにどういった支援が必要かを考え計画を策定する。組合員が参加しやすい支所や部会単位で、現状の年齢構成や後継者の状況を点検する。
そのうえで組合員と役職員の話し合いを通じ、危機感を共有して次世代組合員の確保目標数などを設定する。
第2段階は次世代組合員の育成、確保策の実践だ。まず、農家組合員の後継者(子どもや親族等)への事業承継のために、親子等の話し合いや、事業承継計画の策定や実践を支援する。後継者がいない場合は第3者経営承継を支援する。
次世代組合員には非農家や雇用者なども含め、新規就農者として支援する取り組みも重要になる。半農半Xも含めた多様な農業者の育成に向けた取り組みを行う。具体策として行政とも連携し、新規就農者の募集から研修、就農、定着までトータルで支援する「新規就農者支援パッケージ」を確立し実践していく。
JAだけですべての次世代確保は難しいことから、JAで実施が難しい新規就農者希望者の住居の確保や、農地の権利設定などは行政と役割分担を明確にして取り組む。
県域は、県域としての取り組み方針を策定するとともに、JAの地域農業振興計画策定、事業承継・新規就農確保など支援する。全国域は取り組み状況の把握と優良事例の調査、支援施策の体系化などに取り組む。
次世代総点検運動をJA全中では「農業をしたい!を支援する」と位置づける。
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