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将来のJAの中核担う職員23人 「必要とされるJA」へ改革案をプレゼン(2)2022年2月22日

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JA全中が2月18日に開いた「JA戦略型人材育成研修全国研究発表会」では、直売所や共済事業をめぐる改革案からキャンプ場経営などと幅広い視点から様々な提案が発表された。JA全中の菅野孝志副会長は「参加者のプレゼンの中で総合事業という言葉を多く聞いた。総合事業には強みも弱みもあるが、弱みも切り込み方によって面白くなることが伝わってきた」と総括コメントで評価した。2回目は、後半の11人の提案内容を紹介する。

発表会で総括コメントをしたJA全中の菅野孝志副会長発表会で総括コメントをしたJA全中の菅野孝志副会長

〇全国共済連徳島県本部(徳島県)上野貴史さん
「安心と満足の事故対応を目指して~総合満足度95%達成への取組施策~」
少子高齢化や高齢者の免許返納などで他の損保との競争が激化する中、「高品質の事故処理」が不可欠だと指摘した。利用者満足度調査から、途中経過の連絡の少なさなどが課題となっていることを突き止め、スキルアップ研修会の開催や「事案マネジメント総合職」の配置などを盛り込んだ改革案を提案し、「安心」と「満足」を提供し続けたいと目標を語った。

〇JAいわて中央(岩手県)小田島主さん
「ミライヘススメーJA農業研修施設の開設による新たな職員教育と新規就農者支援のすゝめ」
農家組合員の減少による地域農業の衰退が課題となる中、就農支援の仕組みづくりが求められるとして、新規就農者や営農指導員の育成を目的とする「JAICトレーニングセンター」の運営を提案した。就農希望者は2年間研修して3年目に新規就農者としてスタートできるよう支援し、将来のJAの担い手となるよう継続的にフォローして農家組合員の増加などにつなげたいと述べた。

〇JA八王子(東京都)中村芳博さん
「新たな農産物販売のカタチ」
農産物を販売する地元の「道の駅」に比べて農協の直売所の収支が劣っているというデータを示し、農協の2つの直売所を閉鎖してニーズの高いインショップ販売に尽力することを提案した。直売所の一つは加工所として地産地消を進めるとともに、販売課を新設して農業者とインショップをつなぐバイヤーの役割を果たすことなども掲げ、「思い切った決断と実効が新たな農産物販売のカタチを見出していく」と強調した。

〇JA鳥取中央(鳥取県)中橋裕一さん
「農家所得向上に向けた市場開発戦略」
農家所得向上を大きな目標として掲げ、自産地商品を分析したときに多様な品目があることに着目、その特徴を生かした戦略として「産地間連携直売事業」を提案した。県外JAとも連携して近隣府県の主婦層や高齢者層をターゲットに多様な農産物を直売する試みで、産地間で連携することで品ぞろえが充実し、外国産に流れず国産農産物の消費拡大にもつながるメリットがあると強調した。

〇JAゆうき青森(青森県)種市大さん
「選ばれるJAであるために」
農家戸数が減少する中で、販売実績が安定しているニンニク生産を核としたSWOT分析を行い、今後の戦略・戦術について発表した。全国初のAI選果場をメディアに取り上げてもらうなどの販売力強化や、観光地としての魅力も含めたPR面、販売戦略室を利用した営業のプロの育成などを提案。新商品の開発も進めて生産者の所得向上やブランド力の向上につなげたいと強調した。

〇JAレーク滋賀(滋賀県)森井朝子さん
「正・准組合員が地域の高齢者を支える体制の構築」
超高齢化社会が迫る中、JAが高齢者の社会的孤立などを防ぐためにどう支援すべきかを検討。組合員の助け合い組織の活躍に加えて、JAが利用者と支援提供者をマッチングする有償ボランティア制度の設置を提案した。家事や育児などの経験豊富な女性組合員は日常生活支援の担い手になる存在だとして、女性の活躍の場を広げて生きがいをもって暮らせる地域づくりを実現し、地域社会に貢献し続けるJAを目指したいと語った。

〇JA山梨みらい(山梨県)小林美紗子さん
「経済事業から次世代へのおもてなし 美味(うまみ)への道」
地元の南部茶「甲斐のみどり」の知名度が今一つであることから、ブランド力の向上などに向けた課題を分析した。その解決策として、お茶を飲まない客層へのアプローチとして、老舗菓子店や有名店に商品開発を依頼してコラボ商品を開発することや、南部茶のスポットを歩くスタンプラリーの開催などを提案、利用者情報をさらに販促活動に生かして茶事業の存続や農家の収益などにつなげたいと語った。

〇JA高知県(高知県)小松雅司さん
「JA高知県です!と胸を張って言える組織を目指して」
JA合併後に不祥事が相次いだことを受けて、いかに信頼回復に臨むべきかを検討した。職員へのアンケート調査の結果、不詳事への対応が不十分と感じている職員が多いことや仲間意識の欠如が課題として浮かび上がったとして、不祥事を風化させない「誓いの日」を制定して各地で信頼回復につながる活動に取り組むとともに、他地区への留学制度を設けて優れた点を学びあうなどして職員の意識変化を促したいと提案した。

〇JAたまな(熊本県)藤井誠さん
「スタート!JAこども食堂 JAのチカラでこどもに笑顔を」
子供のころからJAを身近に感じてもらうための対応として「こども食堂」に注目し、管内12か所のJAの拠点単位で運営し、より多くの子供の利用につなげたいと語った。そのためにJAの未来を創る「未来づくり推進室」を新設して、地域との連携や会場の確保など運営面をサポートする戦略について提案、「JAや農業への大きな力になる未来への投資になる」と強調した。

〇JA秋田おばこ(秋田県)佐藤広海さん
「基幹作物イノベーション~コメからネギへの営農戦略~」
コメの価格が下落し農家も高齢化する中、基幹作物をネギにシフトする営農戦略を提案した。ネギの10a当たりの所得の高さなどを説明して農家意識をネギに誘導するほか、県にほ場整備や法人の農地集積を推進してもらい、「ねぎこプロジェクトチーム」を結成してネギ生産振興を図り、産地化やブランド化を進めるとともに農家の所得向上につなげたいと述べた。

〇JA常総ひかり(茨城県)堤勝聡さん
「JAのキャンプ場経営について」
空前のキャンプブームが続いていることに注目し、キャンプ場の経営を提案した。東京からのアクセスの良さや近くに天然温泉施設があるメリットを生かし、地元農家とタイアップした野菜や果樹の収穫や試食などの体験型アクティビティも提供できる施設として開業を目指したいとの思いを語り、「JAが行う新たな事業モデルとして認知度や知名度アップにもつながる」と強調した。

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