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【第6回JA営農指導実践全国大会】(3)地域農業の未来創る要に JA全中2022年2月25日

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その他、優秀賞の実践例は、水田農業地帯のコスト低減対策のほか、果樹や花きなどの導入による複合経営による産地づくりなどが報告された。新規就農支援の仕組みは「次世代総点検運動」の先行事例でもある。

【優秀賞】
りんごJAにおける新たな仕組みづくり
JAつがる弘前(青森県) 三上 正樹氏

リンゴ、水稲に次ぐ園芸作物拡大をめざしJAは専門部署を設置。平成28(2016)年にリーダーに抜擢され、考えたのは課題を分析し「できない」を「できる」へ変える仕組みづくり。

ニンニク栽培は、種子価格が高い、リンゴ作業と重なってできない、乾燥施設がないという生産者に対してニンニク種子生産受託事業を設けJA育苗センターほ場で増産、安価な種子供給を実現するとともに、植え付け作業と乾燥・選果の請け負いも事業化した。地域の雇用創出にもなった。当初10人だった生産者は79人に増え、重点品目に成長した。ピーマンとの複合経営もJAが選果、調製、集荷を請け負う仕組みをつくったところ5年間で100人増加した。夏場のリンゴ農閑期に雇用が生まれリンゴでの継続雇用にも結びついた。

新規就農者確保に向けてミニトマトを導入。育苗後のハウスを貸し出し、研修させ、JA出荷による自己資金の確保など自立できるように力を入れ参加者7人全員が自立就農。新たな仕組みづくりで持続可能な産地をめざす。


【優秀賞】
新規参入者と厚木にキャベツ産地を
JAあつぎ(神奈川県) 山本 宏衣氏

平成26(2014)年に行政とJAが開設した厚木市都市農業支援センターは新規参入相談が充実、若手農業者が急増した。品目を絞り大量に長期間出荷をしたいという要望を受けて加工・業務用キャベツ栽培を始めた。

課題は借地農地のため育苗施設や箱詰めする調製場などがないこと。安定した出荷ができるかも課題だった。

そこでJAが指導し共同育苗を始め、出役すれば労賃を苗代から相殺することにした。その後、生産者に責任者を任せ今では自分たちで苗を作っている。生産者はほ場で箱詰めするしかないが、段ボールでの出荷は雨ではできないのでコンテナを導入した。

令和元(2019)年にJAキャベツ出荷組合を設立。10人全員が新規参入者で平均年齢38・8歳。定例会で栽培状況を確認したり肥料予約と配送時期調整など取りまとめなどを行うほか、地域のベテラン農家への栽培相談活動や、出荷先のカット野菜工場の視察や意見交換なども行っている。新規参入者によって耕作放棄地がキャベツ畑に再生。市内学校給食にも提供している。


【優秀賞】
低コスト化へ大規模水稲直は体系
JA越後さんとう(新潟県) 井浦 勇帆氏

農家の高齢化で担い手の大規模化の加速に伴い、苗の申し込みが毎年増加の一途。施設が不要な直播栽培の推進に取り組むことにした。

種子は長年の試行錯誤の結果、カルパーコーティング種子を普及拡大した。ただ、発芽期間が長く移植田より生育が遅く見える不安から早期入水したり落水不足で発芽不良となる例も見られたため、直播研究会による全ほ場巡回と指導機関による徹底した指導を重ねて、技術の安定化と収益を確保し、生産者とJAの信頼が構築されてきた。

は種方式も検証し、コストの低い動力散布機による散ぱでも慣行のアタッチメント式点ぱとそん色ない収量と品質は確保できることが分かった。

直はは、農薬を同時散布できないため除草剤を散布する必要があるが、作業員の高齢化でドローンなど複雑な機械を扱うのが難しくなっていることからボート散布を提案した。深水の準備が必要だが、作業は非常に早く、ドローン散布などと同等の効果が得られる。直はの200ha拡大に向け大区画ほ場を持つ担い手をメインに推進していきたい。


【優秀賞】
未来につながる持続可能な農業
JAぎふ(岐阜県) 佐藤 昭仁氏

本巣地域の農業を守るために、個人農家では限界があるため農業法人を設立した。中心的な農家にリーダーになってもらい地域を説得、オペレーター確保にも努めた。法人化で経営面積は令和2年度約6haから令和3(2021)年度には11haへ増えた。耕作放棄地を解消し麦作付など新たな挑戦も行っている。中山間地は鳥獣被害で営農意欲が低下していたが、被害に遭わない作物として消滅しかけた「徳山とうがらし」を復活させ、新たな特産品にする取り組みも行っている。1人だった生産者を20人にまで増やし協議会も設立。JAはみそとして販売して6次化も実現した。

一方、平地では担い手への農地集積が進み、作期分散と高温対策も必要なため、多収性品種「にじのきらめき」の生産に取り組んだ。市場価格の乱高下に影響を受けないよう業務用として複数年契約を組合員に提案。直はを実証することで安心して作付けしてもらい、作期分散も実現し農家所得増大につなげた。法人組織の離職率の改善など組織力向上プログラムも実践。JAと法人との関係も強化された。


【優秀賞】
アスパラ産地販売1億円めざして
JAしまね(島根県) 野中 一敏氏

アスパラガス部会の販売高は約6000万円だが、10年で1000万円しか伸びていない。1億円を目標になぜ伸び悩んでいるかを全戸巡回して徹底的にヒアリングし、行政とも連携した産地振興プロジェクトを立ち上げた。
課題の一つは新規栽培時の初期投資で、これを削減するためリースハウス事業を始めた。また、共販体制を強化するため、出荷規格の見直しも行った。厳格な規格の見直しには否定的な意見も出たが、市場や販売担当者とも何度も協議し規格表を作成。また、パッキングセンターの選別機の更新を機に個人粗選別を廃止することにした。

農繁期の労働力はJA広報誌でヘルパーを募集。障がい者就労継続支援事業への作業委託で確保につなげた。

若手農家への技術継承のためにベテラン農家で修行する個別研修制度をつくった。師弟関係のような間柄となり情報交換も頻繁になった。同時に同世代の情報共有も重要だと考え、青年部を設立した。2021年には7200万円と過去最高実績に。自信を持って取り組みを進めたい。

【優秀賞】
ストレリチア産地復活の取り組み
JAおきなわ(沖縄県) 金城 亮一氏

ストレリチア(極楽鳥花)は南アフリカ原産の永年作物で、沖縄県は生産量日本一。沖縄産のピークは5月から10月。そのため冬季品目との複合品目として最適である。しかし、疫病菌による立ち枯れが問題となっている。

これまでも対策を行ってきたが根本的な解決に至らなかったため、南部地区全ストレリチア生産者の全ほ場を徹底調査した。約80戸で150筆。立ち枯れ被害率や、肥料・農薬の種類と散布状況、隣接ほ場の作物など周辺環境も調査した。

自分自身も栽培試験を実施し説得力と指導力を高める努力もした。

調査の結果、鶏ふんや有機肥料の大量使用による疫病菌の増加と、台風の暴風、ほ場の排水不良も要因と分かった。これを受けて天地返しによる土壌菌密度の低減、無病株を親株とした株分け鉢上げ苗の育苗と定植などを産地一体となって行ってきた。

育苗技術講習会も開催し、継続的で安定的な苗供給体制も整備。休耕地への定植で農地の有効利用と農業所得の向上にもつながっている。販売額1億円が直近の目標だ。

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