「農業やめる人出ないか心配」JA全中会長が生産資材高騰で農相に緊急要請2022年4月8日
燃料や肥料など生産資材の高騰が農家の経営を直撃する中、JA全中の中家徹会長などが4月7日、農水省を訪れ、金子原二郎農相に緊急要請を行った。政府の緊急対策取りまとめを前に、営農継続に必要な生産資材の確保など、食料安全保障の観点から農家経営の影響緩和に向けた大胆な緊急対策を求めた。中家会長は金子農相に「資材の高騰で農業をやめる人が出ないか心配している」と危機感を訴えた。
金子農相(右から3人目)に緊急要請を行ったJA全中の中家会長(左から3人目)ら
JA全中の緊急要請には、中家会長のほか金原壽秀副会長と菅野孝志副会長、それに全農の菅野幸雄会長や野口栄理事長らも同行した。
緊急要請書では、資材高騰の長期化が見込まれる中、食料安全保障強化の観点から、農家経営の影響緩和に向けた大胆な緊急対策を講じることをはじめ、農家経営への影響を緩和するため、当面の営農継続に必要な生産資材の確保に向けた緊急対策を求めている。具体的には、必要な肥料原料の確保に向けた取り組みを支援する仕組みの創設や、肥料価格高騰の影響緩和に向けたセーフティネットの具体化を含む対策などを求めている。
また、流通・消費対策として、輸入食品の値上げ・供給の不安定化が国民生活に影響を与える中、国産農畜産物の利用拡大・切替を行う食品産業への手厚い支援を講じ、消費生活への影響緩和を図ることも盛り込んだ。
中家会長は面会の中で、「生産資材の高騰などで農業をやめる人がでないか心配している。この急場を何とかしてほしい」と危機感を訴えた。
これに対し金子農相は「ウクライナ情勢が価格高騰に拍車をかけて大変厳しく、かつてない状況と受け止めており、総理からも対策の検討を指示されている。すぐに取り組むべきことと中長期的な対策を分けて検討したい」などと述べ、対応に乗り出す姿勢を示した。
緊急要請のあと、中家会長は取材に対し、「生産資材は高騰しても農家は農産物への価格転嫁ができず高騰した分が所得減になってしまう。大変厳しいのでいろんな形で支援してほしいと話した。また、肥料の調達先変更で輸送コストもかさんでいる。短期的な話とともに長期的な対応もお願いした」と述べた。
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