農作業事故 推計年7万件 乗用トラクタで高頻度 JA共済連が分析2022年4月27日
JA共済連は4月26日、最新の共済金支払いデータをもとにした直近の農作業事故の発生要因や事故傾向の分析結果を公表した。事故の発生状況では乗用トラクタの発生頻度が高く、農用運搬機の重傷度が高いことが分かった。
2017(平成29)年から2020(令和2)年までの共済金支払いデータ2万1634件を用いて分析した。
共済金支払いデータのうち農作業事故全体は1万8354件で、このうち死亡事故は0.4%だった。
農林水産省が発表している2020年度の死亡事故は270件であり、それをふまえ農作業事故は年間約7万件発生していると推測した。公表される事故件数は「氷山の一角」としている。
事故全体では「農機」22%、「施設」18%、「その他」が60%で「その他事故」がいちばん多い。
重大事故では「農機」による「死亡事故」は49%、「後遺障害」は50%を占める。
農機の事故を分析した結果では「乗用トラクター」は事故発生頻度が高く、重傷度も高いことが示された。また、農用運搬機の重傷度が高いことも示された。
施設での事故の分析からは、施設内外を問わず「墜落」が重大な事故につながりやすいことが分かり、高所作業や急な斜面には注意が必要なことが改めて示された。
農作業の特性と事故との関係を検証したところ、斜面や高所作業が多く、施設も暗く狭いなどの環境のため、「転倒」と「墜落」が事故全体の半分、施設事故は約2割を占めた。炎天下での作業も多いことから、事故発生時期は6~9月期で約3割を超える。
さまざまな機械や用具、家畜を扱うことから、これらによる事故が約5割を占め、重傷度も他の事故よりも高いという結果も出た。
高齢化も要因で高齢者ほど重傷度が高いことも分かったほか、ワンオペレーションが多いため事故後すぐに発見されないケースも見られるという。
JA共済連は2013年から16年のデータをもとにした分析を行っている。その前回調査とくらべると、死亡事故割合は0.44%から0.37%に、後遺障害を伴うような重傷度の高い事故の割合は1.03%から0.92%に減少した。
一方で農用運搬機の事故については、発生頻度は前回調査から減少しているものの、重傷度は大きく上昇していることが分かり、重大事故につながりやすいことが示された。
農作業死亡事故の発生割合は、建設業の約3倍、全産業とくらべて10倍以上と高い。農水省は2022(令和4)年までに2017(平成29)年水準から半減させることを目標に農作業安全対策に取り組んでいる。JA共済連は今回のデータを活用しながら関係機関と連携して農作業事故の未然防止に取り組むとしている。
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