物価高・世界経済減速で経済成長見通し下方修正 農中総研2022年8月24日
農林中金総研は8月18日、2022~23年度の改訂経済見通しを公表した。物価高や世界経済減速で景気回復に遅れもあるとして、22年度の経済成長率は1.7%と前回の2.7%から下方修正した。
2022年度に入り、コロナ「第6波」の収束でサービス消費の持ち直しが主導するかたちで景気回復が進んだ。先送りされていた企業設備投資も増加に転じたこともあって、4~6月期GDPは3四半期連続のプラス成長で前期比0.5%、同年率2.2%となった。
7月以降、コロナ感染は拡大し「第7波」となっているが、サービス消費は持ち直しが続いているものの、農中総研は、物価高による家計の実質購買力の目減りや、企業のコスト増などが景気回復の「勢いを削ぐ」とみる。
また、高インフレに直面する海外では中央銀行の金融引き締めで世界経済の減速感が強まり、生産と輸出も伸び悩むと予想する。
こうした情勢から22年度はGDP成長率の見込みを1.7%と、6月時点の2.7%から下方修正した。
今年秋以降は、訪日観光客の受入れ拡大や、新たな需要喚起策などが導入されるものの、物価高の影響と世界経済の減速で23年半ばにかけて国内景気は緩慢な回復テンポとなると予想している。
こうした情勢から23年度のGDP成長率の見込みは1.3%と6月時点の2.0%から下方修正した。
農中総研は、先進国・地域でのインフレとそれに対する金融政策の対応、世界的なエネルギー、食料不足の顕在化には注意が必要と指摘している。
物価動向は、6月の全国消費者物価は前年比2.2%上昇した。農中総研は年度半ばにかけて2%台後半まで上昇率が高まる場面が想定されるが、家計が生活防衛のために消費を抑制するとみて、「インフレが3%超まで加速し続ける事態は想定しづらい」という。23年度は同1.7%へ鈍化に転じると予測している。
雇用情勢は、行動制限が解除されウィズコロナ移行への期待も高まったことから、関連指標が改善している。
一時3.1%まで高まった失業率は6月は2.6%まで低下した。有効求人倍率も一時は1.04倍まで低下したが、6月には1.27倍に改善した。人手不足感は徐々に高まっており、求人数も高水準を維持。失業率は22年度2.6%、2.4%と予想しており、23年度下期には2.3%まで改善し賃金上昇圧力も徐々に高まると予想している。
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