組合員の参画で次世代確保を JA営農・経済フォーラム 西日本2022年9月5日
JA全中は9月2日、西日本地区での第8回JA営農・経済フォーラムを大阪市で開いた。
大阪で開かれたJA営農・経済フォーラム(西日本地区)
テーマは「次世代担い手の確保」で、昨年10月の第29回JA全国大会で決議した「次世代総点検運動」をいかに組合員の参画で実践するか、実践報告などから考えた。
JA紀の里(和歌山県)の山名純一専務は「あら川桃部会トレーニングファームの取り組み」を報告した。
商標登録を取得している「あら川の桃」の生産部会は約360名が参加しており、JAは部会組織を中心に後継者育成をめざし意向調査をしたところ、約100人が新規就農をめざす人に技術指導をしてもいいと回答。それをもとに行政との連携で確保した桃の園地をトレーニングファームとして確保し、部会員が研修サポーターとして2年間支援する仕組みをつくった。
研修サポーターはJAと毎月会議を行い研修の課題や、改善方法などを協議した。それが研修サポーターの意識向上にもつながったという。平成27年からの取り組みで4名が研修後に就農、現在も研修は続いている。山名専務は「農家が主役となるサポーター制度を他の部会でも実施できれば産地の活性化や後継者問題の解決につながる」と話した。
JAしまね(島根県)の山根盛治代表理事副組合長は「しまねの次世代担い手確保対策」を報告した。
同JAはTACを中心とした事業承継に力を入れている。22人のTACが月平均100戸の組合員を巡回する一方、部門間や支店、税理士や司法書士など専門家との連携体制をつくり、事業承継につなげる対象を設定してアプローチしている。
事業承継ブックを活用した事例や、農業経営管理支援事業の一環で経営コンサルを実施したことから事業承継につながった例など実績をあげてきた。担い手にとって本音で農業経営について議論できる場づくりとなるとともに、計画的な経営の引継ぎも実現したほか、JAへの支援要望が増えるなど周辺農家にも活動の影響が波及しているという。後継者からは親の苦労や歴史が分かり、やる気が一段と強くなったという声も出ている。
「部門間連携が不可欠でJAの総合力を発揮した取り組みを行うことが必要だ」と山根副組合長は強調した。
JAおきなわ(沖縄県)の安谷屋行正代表理事専務は「新規就農・担い手育成の取り組み」を報告した。
沖縄県では独自の新規就農一貫支援事業を平成24年度から令和3年度まで実施した。目標は年に300人の新規就農者確保。県の事業を活用しJAは就農相談から研修実施、初期投資支援など就農と沖縄型レンタル農場の整備と貸出など、定着支援を行う「JAおきなわ新規就農者支援パッケージ」を提供した。
そのほかJAとして新規就農希望者には、既存農家との情報交換や農業に対する認識を共有するため、品目別生産部会やJAおきなわ青壮年部への加入促進を図っているほか、新規就農者が身の丈に合った経営から始めて定着できるよう、ファーマーズマーケット生産者会への加入も呼びかけている。
JAは新規就農コーディネーターの配置や、チャレンジ農場などの整備などで支援してきた。平成29年度からの5年間で目標1500人に対して1383人の新規就農者を確保した。安谷屋専務は「営農の定着には農業以外の地域での活動に参加を促すなど地道な支援が必要だ」と話した。
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