「共同購入」第3弾はコンバイン JA全農 メーカーに開発要求2022年9月27日
JA全農は9月27日、国内農機メーカー4社(井関農機、クボタ、三菱マヒンドラ、ヤンマーアグリ)に共同購入するコンバインの開発要求を行ったと発表した。製品発表は2024(令和6年)1月、供給開始は同年4月を予定している。
コンバインは主要3機種(トラクター、コンバイン、田植え機)のなかでももっとも利用経費が高い。1ha当たりの利用経費は田植え機が8.7万円、トラクターが12.3万円だが、コンバインは18.6万円となっており、共同購入に取り組むことで生産資材コストの低減をめざす。
これまでの共同購入の取り組みでは全国の生産者の声を集約してメーカーに提案してきた。
今回は出荷台数がもっとも多く需要の結集が見込める4条刈り50馬力のコンバインを開発要求することを決め、4月から7月末にかけてJAグループの農機担当者が積極的に活動して生産者7299人から声を集めた。
その結果、必要な機能を集約し「生産者が必要な機能を厳選したコンバイン」をコンセプトに開発要求項目をまとめた。エンジン出力は45馬力~55馬力で燃料タンク容量は無給油で概ね1日作業ができる(約6時間)性能を求めた。
標準装備として求めるのは▽自動こぎ深さ制御、▽自動水平制御、▽オーガ自動制御(旋回、収納)、▽刈取オートスクラッチ、▽掻きこみペダルまたはスイッチ、▽大型後方ミラー。標準装備またはオプションとして求めるのは▽防塵カバー、▽作業灯(こぎ口、オーガ先端)、▽無線オーガリモコンとした。
生産者へのアンケート実施に加え、農業者3団体(日本農業法人協会、JA全青協、全国農業青年クラブ連絡協議会)に所属する稲作生産者から意見を聞いた。
そのなかで「4条刈りは適切な大きさであり、また需要も多い」との意見が出た。全農によると1ha層から20ha層まで幅広く使われているという。
このほか、この開発要求をきっかけに「乗降時や機体転倒時の乗員保護、補助者への接触防止など、今まで以上にコンバインの安全性について考えていただきたい」などの意見も出された。これらをふまえJA全農は付帯要求事項として、▽コンバインを長く使うため日常点検・調整・消耗品交換の容易化、各稼働部の耐摩擦性・強度向上を図ることや、転作も見据えて▽大豆や子実トウモロコシなどさまざまな転作に対応できるコンバインのラインナップやその装備の拡充を進めることなどを求めた。付帯要求についても回答を求めていく。
27日に開発要求後、11月から事前購入申し込み書のとりまとめを行っていく。その後、来年(2023)11月に現物確認、12月に見積合わせと共同購入機を決定する。購入機の決定は、生産者の代表やJAの農機担当者、全農の担当者らが現物を確認し、開発要求を満たした型式について入札で決める。
製品発表は2024年1月の予定だ。
第1弾の大型トラクターはヤンマー製で3年間で2214台を出荷。第2弾の中型トラクターはクボタ製で1年半で2800台を出荷している。これらの共同購入では通常機より概ね20~25%の価格引き下げを実現している。
生産者との意見交換では「米価下落と資材高騰で農業を続ける意欲が減退している。この共同購入コンバインの価格インパクトは重要」との声も上がった。
2024年4月からの供給目標台数は1000台。JA全農は「切実な要望を真摯に受け止め本気で開発要求を行い、広く結集を呼びかけて生産者にメリットを還元していきたい」と話している。
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