カラス対策機器「音撃カラススナイパー」開発 共生へ新しい撃退法 JA全農2022年10月28日
JA全農は、ヒトとカラスの共生のための新しい撃退法を利用したカラス対策商品「音撃カラススナイパー」を開発した。
カラスをAIがロックオンしている様子
カラスは人になつくほど知能が高いことが知られる身近な鳥だが、ごみ置き場を荒らしたり、農作物を荒らしたりするほか、人を襲うこともある。農林水産省の全国の野生鳥獣による農作物被害状況(令和2年度)によると、国内の農作物被害額は鳥獣害被害額が約161億円でそのうち、約14億円がカラスによる被害と言われ、鳥類では最大の被害額となる。こうした被害は、カラスから見ればエサがそこにあるから起こるのであり、エサが潤沢にあることで個体数が増え、カラス被害が増えていく循環を作っている。
従来のカラス対策商品は、ネットやテグスなど物理的な資材や忌避音を発する装置がほとんど。前者は隙間なく設置することで高い効果を得られるが、現実は人の作業の妨げになることが多く、少しの隙間からカラスの侵入を許してしまう。また、後者は物理的な遮断を徹底する必要がなく、多くの場所で簡便に設置できるが、装置のほとんどが赤外線センサーやタイマーで制御。センサーはカラス以外の人や葉っぱにも音を発し、知能の高いカラスは脅威を感じなくなってしまうなど、タイマーでは音のならない時間帯には役に立たなかった。
導入パッケージの基本セット(AIボックス、カメラ、スピーカー)
JA全農は、簡便に設置できて、カラスが来た時にだけ、忌避効果の高い忌避音を発する装置の開発を模索する中、画像AI開発スタートアップ会社と出会い、「音撃カラススナイパー」の開発を開始。一般的に難しいと言われるカラスのような黒色の物体をAIで認識する技術の開発を進めた。また、実証試験を繰り返す中で、より効果的な追払いノウハウを得られ、長期にわたり効果が続く商品を生み出すことに成功した。
「音撃カラススナイパー」は、カラスのいない時は発音せず、飛来のタイミングで発音するため、無駄のないカラス防除を実現。自分が威嚇されていることをカラスに認識させる。また、狙い撃ちするため、賢いカラスはそれを理解して脅威に感じ、効果が長期間続く。さらに、カラスの飛来数の記録、飛来動画を自動取得し、データの見える化が可能となる。
今後はテスト販売を通じて、主に自治体(市街地)、食品製造分野、物流分野などに提供を開始。本格販売は2023年4月以降を予定している。試験販売で30セットの販売を予定。想定販売価格は、1セット150万円前後(カメラ、スピーカー台数により変動。設置作業費別途)。
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