コオロギでSDGs貢献、酵母でプロティン、高機能バイオ炭で脱炭素【JA支援のスタートアップ企業】(2)2022年11月16日
農業を中心に課題解決に取り組むスタートアップ企業をJAグループが支援するJAアクセラレータープログラムに採択された9社が取り組みの成果を報告した発表会。2回目も3社の取り組みを紹介する。
「エコロギー」の池田健介COO
サステナブルな"コオロギ"でSDGsに貢献
早稲田大学発のベンチャー企業「(株)エコロギー」の池田健介COOは、「サステナブルなタンパク質としてコオロギに注目している会社」と自己紹介、コオロギが良質なタンパク質を含むとともに温室効果ガスが少なく、狭いスペースで量産可能であるとメリットとともに事業を説明した。
すでにカンボジアで食品ロスを回収して専用の餌としてコオロギの量産体制を構築している成果を踏まえ、今回のプログラムでは飼料などとしての領域拡大などに挑戦した。接点を持てた事業者のうち宮城県漁協からは、コオロギを活かした"サステナブル"なストーリーが注目され、別の鶏卵事業者からは海外市場向けに差別化を図れると興味を示され、好感触を得ることができた。さらにコオロギを餌にした採卵鶏の若返り効果も確認されたといい、「こうした機能性も活用したい。食品や飼料などあらゆる領域でエコロギーの原料を展開したい」と目標を語った。
「My Fit」の山田真愛代表取締役
酵母プロティン開発で健康寿命伸ばす
「(株)My Fit」の山田真愛代表取締役は、高校時代に母を亡くした経験から健康寿命の延伸をみずからのミッションとして、1人1人の身体を分析したプロティンを届けている事業について説明した。人間にとって重要な栄養素であるタンパク質が世界的な人口増加で将来的に不足すると予想されるうえ、原料のホエイの価格が上昇する中、今回のプログラムではサステナブルな新たなたんぱく源の切り替えを模索した。
この中で特に着目したのがホエイより栄養価の高い酵母で、環境負荷が少なく、安定供給も可能であることからビール会社と連携して開発に取り組んだ。完成した酵母プロティンのサンプルを試飲すると長所の半面、風味の苦みが課題として残されたといい、今後も開発に向けて改良を重ねる意欲を示した。「将来的には高齢者や40、50代の女性などふだんタンパク質が取れていない方の健康づくりなどに向けて、販売検証も行っていきたい」と抱負を語った。
「TOWING」の木村俊介取締役COO
"高機能バイオ炭"で脱炭素と新たなエコシステムを
「(株)TOWING」の木村俊介COOは、バイオ炭に土壌微生物を定着させて有機肥料の利用効率などを向上させた「高機能バイオ炭」で、脱炭素と有機への転換の両立に取り組んでいる事業を紹介、みどりの食料システムで減農薬などを進めたい国と生産性を高めて収益を上げたい農家のミスマッチの解決を目指したいと強調した。
今回の事業の成果として、当初、事業として想定していなかった土壌改良剤として活用する「宙炭(そらたん)」事業を立ち上げ、JAグループの支援で秋作で4件実施、春作に向けて40社以上と協議を進めていることを報告した。木村さんはプログラムを通して、営業活動が大きく加速して販路開拓につながるなど確実な成長につながったと話したしたうえで、今後の目標として「お金を使って廃棄されているもみ殻や鶏糞などを有機物に転換し、作った作物を商流に乗せて販売して最終的にカーボンクレジットにつなげる新たなエコシステムを作っていきたい」と語った。
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