雹被害の梨「あたりちゃん」 災い転じて福 農業応援団が急増 JAいちかわ2022年11月21日
千葉県のJAいちかわは11月19日、同JA本店で第38回感謝祭を開いた。今年は6月の雹(ひょう)被害で傷ついた梨をJAが買取り、「あた梨ちゃん」と命名して販売し、市川市民をはじめ多くの消費者が購入支援してくれたことから「あた梨ちゃん感謝祭」とした。
梨を使ったバームクーヘンが先着1000人に配られたが、多くの人が列をつくった。
災い転じて福 農業応援団増える
今年6月3日、JAいちかわ管内に雹が集中的に降り、市川市内の梨畑約7割で幼果に傷がついたり枝が折れるなどの被害が出て、梨農家203戸のうち170戸が影響を受けた。
被害額は13億4000万円と見積もられ、JAは組合員農家の支援するため被害果実の買取販売を行うことを決めた。
JAは被害梨を「あた梨ちゃん」と命名。市場関係者と連携して「雹」という出荷規格を設定し指定市場に出荷するとともに、7月からは通販サイトを立ち上げ、インターネット販売を開始した。また、支店での販売のほか、JR西船橋駅での販売など販売促進活動に力を入れた。駅での販売は3日間でいずれも短時間で完売したという。また、ネット販売ではJAグループ各団体をはじめ、企業がまとめて購入したり、山崎製パン、不二家、シャトレーゼなど食品メーカーが加工用として仕入れた。
こうした販売努力の結果、当初予想された被害額の約65.7%を挽回し、「あた梨ちゃん」として8億8000万円を売り上げ、最終的な被害額は約4億5000万円に抑えることができた。
時田正一代表理事組合長は感謝祭の始まりに当たり「多くのみなさんにあた梨ちゃんを買ってもらって生産者も大変喜んでいる。楽しい一日に」とあいさつ。
果樹部会の荒井一昭部会長
果樹部会の荒井一昭部会長は「雹の被害でだめだと思ったが、JAが売り先を開拓してくれて感謝している。味が評価され単価も何とか持ちこたえた」とあいさつ、「天災に負けず、防災網を導入して来年からも安心・安全なJAいちかわの梨をつくっていきます」と話した。ただ、傷ついた枝もあるなど、もとに戻るには3年ほどかかりそうで「部会員と研究しながら栽培していきたい」という。
今野博之理事長によると今年はニュースで被害を知った人が東京や埼玉からも買いに来た。「まだまだ農家への支援は行き届いていないが、これを機に5年、10年と生産者、組合員と守るという意気込みで将来に向かっていきたい」と話した。
感謝祭では時田組合長が来場者に「地域農業の応援団を募集しています」と准組合員になることを呼びかけた。
「組合員募集!」のチラシも配布。組合員になると料理や園芸教室などJAカルチャー教室や、日帰りバス旅行に参加できることなどを伝えている。
JAは今年の初め、3年間で5000人の准組合員の加入目標を立てたが、すでに4000人の加入があり目標を大きく上回るペースで進んでいる。今回の販売で生産者からも信頼を高めるとともに、JAの役割が地域住民にも改めて評価されるきっかけになったといえる。
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JR西船橋駅で「市川のなし」販売 JAいちかわ
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