「和牛甲子園」開幕 過去最多の40校出場 飼料高騰対策への挑戦など活動発表2023年1月20日
和牛を飼育する全国の農業高校の「高校牛児」が育てた和牛の肉質などを競う「第6回和牛甲子園」(JA全農主催)が1月19日、東京・港区で開幕した。飼料高騰などで畜産農家が厳しい経営に直面する中、初日は体験発表会などが行われ、飼料高騰対策などに高校生が工夫しながら取り組んだ成果が披露された。
3年ぶりに実参加を主体に開かれた和牛甲子園
和牛甲子園の実参加を主体とした開催は3年ぶり。今回は過去最多の40校が出場し、56頭の和牛が出品された。26校の生徒は会場で参加し、ほかの高校はオンラインで参加した。
開会式では、JA全農の齊藤良樹常務理事が「我が国で肉牛を飼養する農家が年々減少する中、皆さんには大会を通して和牛飼育は楽しい、一生の仕事にしようと思ってもらうとともに、活動の共有化を通じて牛飼いの楽しさを分かり合える仲間を作ってほしい」と挨拶した。
このあと出場校が「敬天愛牛」「牛突モウ進」など各校のキャッチフレーズとともに紹介されたあと、富山県立中央農業高校の生徒4人が「牛児マンシップにのっとり、牛と共に青春を謳歌することを誓います」と力強く宣誓した。
富山県立中央農業高校の生徒たちの選手宣誓
取組評価部門の最優秀賞は鹿児島県立市来農芸高校
初日は和牛飼育体験発表会が行われ、各出場校の取り組み成果について審査された取組評価部門の結果が発表され、入賞校がプレゼンが行われた。
最優秀賞を受賞した鹿児島県立市来農芸高校の発表
最優秀賞を受賞した鹿児島県立市来農芸高校は、先輩たちの取り組みを受け継いで鹿児島黒牛のさらなる肉質の改良を目指し、おいしい赤身づくりなどに挑戦した。きな粉やおからなどを混ぜて工夫を重ねた給餌をはじめ環境に配慮した「光合成細菌の活用」、牛の健康維持を目的とした「麹の給餌」などに取り組んだ結果、経費削減や内臓廃棄率の大幅減少につながったと発表、「ふるさとの宝、鹿児島黒牛を受け継ぎ、令和を和牛新時代の幕開けととらえて牛と共に歩み続けます」と力強く決意を述べた。
飼料高騰対策に果敢に挑戦する取り組みも目立った。優秀賞を受賞した北海道倶知安農業高校は、飼料自給率が低い中、地元で廃棄されているジャガイモデンプン粕を飼料化し、黒毛和牛に与え、さらに牛ふん堆肥を畑へ還元するという地域循環サイクルの確立に挑戦した。その結果、配合飼料に比べて大幅に飼料費を削減できることがわかり、「世界情勢に左右されない安定した畜産経営に繋がると確信しています」と強調した。
同じく優秀賞を受賞した広島県立西条農業高校は、飼料費削減や病気などのリスク回避につながる短期肥育への取り組みを発表した。和牛のおいしさを増すためにオレイン酸の豊富な赤ぬかを割合や開始のタイミングを探りながら給与し、効果を検証するとともに、今後も安定経営につながる短期肥育技術の確立に取り組み続ける決意を示した。
多田耕太郎審査委員長(東京農大教授)は「和牛の肥育期間が長い中、限られた3年間で先輩から受け継ぎながら成果を発表するなど、入賞校に限らずどれも素晴らしい内容だった。活動をさらに後輩につなげることは皆さんの大事な役目であり、命を預かる大事な経験をしながらいろんな活動に取り組んでほしいほしい」と講評した。20日は、和牛の枝肉共励会などが行われる。
取組評価部門の結果は次の通り。
●最優秀賞 鹿児島県立市来農芸高校
●優秀賞 広島県立西条農業高校、北海道倶知安農業高校
●優良賞 京都府立農芸高校、栃木県立栃木農業高校、神奈川県立中央農業高校
●高校牛児特別賞 愛知県立渥美農業高校
●審査委員特別賞 鹿児島県立鹿屋農業高校
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