特色ある農畜産物と加工品が勢ぞろい JAグループ国産農畜産物商談会2023年2月2日
JA全農と農林中央金庫は2月1日、東京都内で第17回JAグループ国産農畜産物商談会を開いた。4年ぶりの会場開催でバイヤーらで賑わった。2日も開催される。
この商談会は国産農畜産物やその加工品などの販売チャネルの拡大を目的に、JAグループの地域の特色と創意工夫にあふれた食品を実際の取引につなげていくために開催してきた。
今回は「地域の魅力を未来につなごう!」がテーマ。全国からJA、生産者や全農県本部など86団体(106小間)が出展した。
また、2月1日から3月31日までの2か月、オンライン商談会も開く。
●ファミマ 全農と地域連携強め
商談会では特別セミナーも開かれ、ファミリーマートの富樫信人執行役員商品本部長補佐兼デリカ食品が講演した。
2021年に40周年を迎えたコンビニエンスストアのファミリーマートは全国に約1万6600店舗を展開、1日に2500万人が来店する。
「地域に寄り添う」が基本理念の一つでJA全農と事業提携し、「おいしい、うれしい、安心」を軸とする新ブランド「ファミマル」の価値をめることをめざす。
贅沢なおむすびとして発売した「ごちむすび」では、これまでさつま若シャモや博多地鶏、比内地鶏を具材にした。生産者からの鶏肉の調達では系統の飼料メーカーによる集荷と全農チキンフーズによる加工など全農グループが関わる。富樫氏によるとおにぎりの販売数は伸びているなか、この「ごちむすび」はさらに伸び「安心・安全と食材の価値は消費者に伝わっている」と話す。
最近ではJA女性組織とコラボによる商品開発も行っている。引き継ぎたい食文化、懐かしい味などをテーマに募集したところ全国のJA女性組織から130ものレシピ提案があった。
そのなかから関東地区ではJA前橋フレッシュミズが提案した「甘味噌焼きピラフおむすび」、北陸ではJA福井県女性部坂井支部が提案した「あぶらあげごはん」、近畿ではJA京都やましろフレッシュミズが提案した「京都府産九条ねぎの衣笠丼風おむすび」を販売している。
そのほかカット野菜もコロナ禍で販売が伸びているが、JA嬬恋村と提携、産地名を明記した千切りキャベツを商品化した。「カット野菜を手に取る消費者には産地は?という不安もある。JAと組むことでそれを払拭できる」とし、地域との連携が消費者へ安心感を与え、同社商品への期待を高めていると話した。
●ヤオコー レシート分析から戦略
また、埼玉県を中心にスーパーマーケットを展開している(株)ヤオコーの小澤三夫取締役生鮮部長が「ヤオコーの強さについて」と題して講演した。
同社は売上約4500億円、33期連続で増収増益を達成している。「地域すべての人をファンにする」をめざし、旗艦店のほか、タイプの異なる店を地域に集中的に出店するドミナント戦略を展開してきた。
レシート分析によって顧客を「手料理派」「簡便派」「こだわり派」、「低価格志向派」などに分類しそれぞれが何を欲しているかを探ってきた。一口に「安い」といっても「いつも安い」を求めている層と、「良いものが安い」ときに購買する層もあるなど分析し対応しているという。同社は19タイプに顧客をセグメントしているという。
また、地域のなかでもニーズが違うといい、たとえば、健康ドリンクのセールに対して、反応がいい住民のいるエリアと手を出さない住民が多いエリアがあり、配布するチラシの中身を変えるという。
同社が力を入れてきたのがデリカ部門。現在は埼玉県の東松山と熊谷のデリカセンターが商品開発と製造を行っている。そのなかで化学調味料や保存量などの不使用をうたう食品を料理のプロを採用して開発製造してきた。ポテトサラダは北海道から泥付きのジャガイモを仕入れて製造、麺類も粉から製麺しているという。かつては百貨店でしか売れないとローストビーフも工夫を重ね人気商品になったなど、「デリカ部門は昨年も2ケタ成長」、ウイズコロナへの転換で需要が外食に戻るのではとの予測もあったが「おいしいものを作れば売れる」と小澤氏は指摘した。
また、小澤氏は業界ではあまり例のない「店長塾」を始めた。店長を中心とする店舗の展開を目指し指導力の向上を図ることが狙い。顧客の購買行動から将来見通しの仮説を発表して店長どうしでディスカッションするなど戦略や情報の共有とともに、悩みを話し合う場になっている。
産地開発にも力を入れ、産地フェアの開催が企画されれば店長全員で産地研修に出向く。それによって「店で産地の情熱を伝えることができる」となどと話した。
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