イチゴで一連学んで JA全農岐阜営農対策課 高木美奈課長【JA全中新規就農支援実践セミナー事例報告】2023年2月9日
JA全中は1月26日、東京・大手町のJAビルで「新規就農支援実践セミナー」をオンライン併用で開いた。JAグループは、将来の食料・農業・農村を担う次世代組合員を確実に育成・確保していくことを目標に「次世代総点検運動」に取り組むことにしており、新規就農支援を重点事項の一つとしている。セミナーにはJA担当者ら約90人が参加し、実践報告などをもとに地域にあった新規就農支援を計画的に続ける必要性を確認した。講演と事例報告の概要をまとめた。
JA全農岐阜営農支援部営農対策課 高木美奈課長
イチゴは子どもから高齢者まで人気があり、輸入と競合せず価格も安定しているため、研修品目として採用した。生産振興を図るためには新たな担い手を育成する必要があるが、個人農家が就農希望者を引き受け指導するのは負担が大きいため、JAの協力のもとJA全農岐阜が研修施設を取得し平成20(2008)年から研修を始めた。令和3(2021)年度までの15年間で53人が県内各地に就農している。
研修は4月から翌年5月まで。最初の2カ月は体験研修として先輩からほ場管理指導を受け引き継ぐと同時に適正を確認する。その後、担当ほ場で育苗・定植・管理・収穫の一連の作業を実践研修する。
研修生は一人当たり10aのほ場を担当し、経営者になる自覚と責任を持って栽培管理することが求められる。「イチゴファースト」の研修生活を送ることになるので、すべての作業を熟知し、生育状況の問題点などいち早く発見する観察力が身につく。指導管理者は日々のミーティングで生育状況を確認し管理方法の問題点を指摘し、対応策を指導する。
座学研修ではイチゴの生理生態、品種特性、病害虫防除、栽培機器の取扱い方法、簿記など経営管理など学ぶ。また、研修生は生産部会の部会員となり、自分が栽培したイチゴを収穫しパック詰めしてJA集荷場に自分で持ち込む。
就農に向けては、農林事務所、市町村、JAと全農が一体となった「就農支援会議」を研修生ごとに開き準備を進める。農地は市町村、JA、地域の生産者など協力で候補地を選定し確保する。取得農地が確定した後、栽培施設の検討を進め、研修終了前の翌年4月から建設を開始する。各種の補助支援を受けるため、5年間の将来構想・経営・収支計画の作成も支援する。
県下全体の生産者は令和3(2021)年度で238戸。うち新規就農53人は22%を占める。栽培面積も計10haで全体(34・8ha)の29%となる。卒業生が地域農業の中核・リーダーとなり生産振興の役割を担っている。この研修事業をモデルにした冬春トマトをはじめとした新たな新規就農支援事業が県下に広がっている。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(133)-改正食料・農業・農村基本法(19)-2025年3月15日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(50)【防除学習帖】第289回2025年3月15日
-
農薬の正しい使い方(23)【今さら聞けない営農情報】第289回2025年3月15日
-
イタリア旅行の穴場【イタリア通信】2025年3月15日
-
政府備蓄米 初回9割落札 60kg2万1217円 3月末にも店頭へ2025年3月14日
-
【人事異動】JA全共連(4月1日付)2025年3月14日
-
【人事異動】JA全中(4月1日付)2025年3月14日
-
(426)「豆腐バー」の教訓【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年3月14日
-
実需者と結びつきある飼料用米 支援継続を 日本農業法人協会2025年3月14日
-
オホーツクの恵み 完熟カボチャからフレークとパウダー JAサロマ2025年3月14日
-
日本一の産地の玉ねぎがせんべいに 産地の想い届ける一品 JAきたみらい(北海道)2025年3月14日
-
みおしずくがクッキーに 日野菜漬はふりかけに JAグリーン近江(滋賀県)2025年3月14日
-
地域の歴史受け継ぎ名峰・富士の恵み味わう かがり火大月みそ JAクレイン(山梨県)2025年3月14日
-
【人事異動】JA全厚連(4月1日付)2025年3月14日
-
高まるバイオスティミュラント普及への期待 生産者への広報活動を強化 日本バイオスティミュラント協議会2025年3月14日
-
岩手県大船渡市大規模火災での共済金手続きを簡素化 JA共済連2025年3月14日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第107回2025年3月14日
-
3月14日は「蚕糸の日」 大日本蚕糸会2025年3月14日
-
種苗・農産物輸出の拡大に向けた植物検疫のボトルネック解消「農研植物病院」へ出資 アグリビジネス投資育成2025年3月14日
-
【役員人事】農中信託銀行(4月1日付)2025年3月14日