魅力ある病院めざし 日本文化厚生農協連が研究会2023年2月15日
日本文化厚生農協連(文化連)は2月10日、第24回厚生連医療経営を考える研究会をオンラインで開き、「医師の働き方改革に対応した魅力ある厚生連病院づくり」をテーマに、医師確保を目指した病院改革、地域住民との関わり方、病院間の連携の在り方など、実践事例とディスカッションで探った。
研究会のパネルディスカッション
研究会では、産業医科大学講習衛生学の松田晋哉教授が、コロナ感染症の蔓延で見えてきた公的病院の役割について基調講演した。同教授は、「他国がモデルにできるようなベストシステムはない」と指摘し、重要なのは現場力だという。その上で「現場力が発揮できるシステムになっているかどうかが、今後の検討課題だ」と指摘した。
一方で、新型ウイルス感染症への対応を、アメリカなど西欧と比較し、日本のサージキャパシティ(緊急時対応可能能力)の不足を挙げる。具体的には、①病院間のネットワーク、②それに伴う機能分化と患者の集約化、③核になる病院の超急性期化、それに④病床当たりのマンパワーが十分でないという。その結果「今のままの仕組みで欧米並みの感染流行が生じた場合、対処するのは難しいのではないか」と問題提起した。
「医師の働き方改革に対応した魅力ある厚生連病院づくり」では、栃木県の佐野厚生総合病院、新潟県厚生連上越総合病院、三重県厚生連三重北医療センターいなべ総合病院の3病院が実践報告。佐野厚生総合病院は、地域の中核病院としてケアミックス型病院から急性期病院に転換したことや、魅力ある教育環境を整備し、着実に医師を増やすなど病院改革に取り組んでいる。
上越総合病院は、多職種にわたる医療スタッフの教育や研修に力を入れ、研修医だけでなく、指導医講習会を定期的に開くなど人材育成・確保に取り組み、持続可能な医療体制を築くため地域住民との関わりを深めている。
いなべ総合病院は異なる二次医療圏にある2つの病院を存続したままセンター化し、地域の実情を踏まえた連携や、得意分野を生かした病院づくりに努めるなど、地域医療の維持向上や医師確保に努めている。
また、医師の働き方改革については、東京医科歯科大学の高瀬浩造名誉教授は、大半の医療機関では医師を含めた医療関係者の確保に苦慮しており、「働き方改革でこれが先鋭化した」と分析。魅力ある病院づくりとして、①ワークライフバランスの確保、②労働環境の整備、③病院職員全員の良好な雰囲気・ホスピタリティ、④研修・教育システムの整備などをパネルディスカッションに向けて問題提起した。
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